演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

ホルモン受容体陽性・HER2陰性進行・再発乳がんの治療の効果と予後

演題番号 : OS6-4

[筆頭演者]
大野 真司:1,2 
[共同演者]
及川 将広:2、井川 明子:2、猿渡 彰洋:2、古閑 知奈美:2、西村 純子:2、厚井 裕三子:2、秋吉 清百合:2、中村 吉昭:2、石田 真弓:2

1:国立病院機構九州がんセンター 臨床研究センター、2:国立病院機構九州がんセンター 乳腺科

 

【背景】近年の乳がん治療においてはサブタイプに基づいた治療戦略が基本であるが、再発乳がんでは治療効果や予後は術前後の治療に大きく影響を受けることになる。HER2陽性やトリプルネガティブ(TN)乳がんに対して積極的に再発防止を目的としたトラスツズマブや化学療法が施行される一方で、ホルモン受容体(HR)陽性・HER2陰性乳がんではアロマターゼ阻害薬(AI)が臨床応用されてはいるものの化学療法は省く方向性にあるなど治療はむしろ軽減する方向にある。したがって、再発乳がんに占める症例はHR陽性/HER2陰性が増加し、HER2陽性やTN乳がんは減少する傾向にある。そこでHR陽性/HER2陰性進行・再発乳がんの治療成績を解析し、その治療戦略について検討した。【方法】1992年~2012年までに当科で治療した再発乳癌578例中、HR陽性/HER2陰性335例を対象に予後の年代推移を比較検討した。またAIが臨床応用された2001年以降の再発248例を対象に予後と相関する因子を検討した。さらに進行(Stage IV)乳がん178例において、サブタイプ別の予後解析を行った。【結果】再発が診断された2000年以前(191例)、2001年~2007年(244例)、2008年以降(143例)の年代別に分けると、HR陽性/HER2陰性乳がんの占める割合は増加した。HR-/HER2+、TNの再発後生存期間は改善したが、HR+/HER2-とHR+/HER2+では2008年以降再発症例の予後は2000年以前の症例と同程度であった。HR+/HER2-再発乳がんの再発後予後因子として、無再発生存期間や術後内分泌療法薬剤があげられた。一方、進行乳がんではサブタイプ別に予後に有意な差は認めず、HR陽性/HER2陰性では進行乳がんと再発乳がんの予後は同程度であった。【結語】新規薬剤の臨床応用は再発乳癌の現状と再発後治療成績に大きな影響を与える。HER2+陽性症例は分子標的薬による予後延長が認められ、TN症例も新規薬剤の認可により僅かながらも予後延長が期待された。HR+/HER2-症例は術後治療中および再発後に内分泌治療抵抗性を示し、術後アロマターゼ阻害薬投与の影響を受けることや、新規薬剤が少ないこと、無再発期間、再発後内分泌治療奏効期間なども再発後治療効果に影響している。今後のmTOR阻害剤等との組み合わせも含めた新しい治療戦略の構築も重要と考えられた。

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