演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

進行再発乳がんの治療戦略~分子標的療法2013

演題番号 : OS6-3

[筆頭演者]
増田 慎三:1 

1:独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 外科・乳腺外科

 

乳癌は女性ホルモンといわゆるGrowth factor(GF)系の増殖シグナル依存度により4つのサブタイプに分類され、治療戦略が構築される。乳癌領域における分子標的療法の主役はHER2陽性乳癌に対するTrastuzumabであり、2001年に進行再発乳癌に適応承認されてからは非常に予後改善に貢献した。2008年には周術期再発予防効果も実証され、化学療法との併用療法で術後1年投与が標準化されている。その後、HER2シグナル系統をターゲットにした新規の薬剤開発が進み、細胞内チロシンキナーゼ阻害作用を有するLapatinibもcapecitabineとの併用で実臨床に根付いている。2013年にはHER2-HER3二量体形成をブロックするPertuzumab, trasztumanbに強力な細胞障害作用を有するDM1をアンカリングしたT-DM1の新規薬剤がHER2陽性進行再発乳癌治療選択肢として新たに登場する予定である。大規模な臨床試験から従前治療よりも有効性が示されており、HER2陽性乳癌治療は新たな局面を迎える。 若干の議論があるものの、乳癌領域でも血管新生阻害剤であるBevacizumabもわが国では進行再発乳癌に適応取得し、HER2陰性乳癌においても新規の治療選択肢が増えた。Paclitaxelとの併用に限定されるものの、予後改善を期待した使用方法の工夫が試行されている。ホルモン依存性の高いER(+)乳癌において、内分泌療法耐性機序の一つとしてGF系カスケードの亢進が考えられる。そのカスケード内の機能分子をターゲットした薬剤の一つであるmTOR阻害剤はホルモン療法耐性乳癌において、臨床的有用性が証明され、保険承認が期待される。本会では分子標的治療への期待とこれらの新規薬剤の登場により変化するであろう新たな治療アルゴリズムを考察したい。

前へ戻る