演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

進行・再発乳がんに対する薬物療法ーその流れと化学療法についてー

演題番号 : OS6-2

[筆頭演者]
青儀 健二郎:1 

1:独立行政法人国立病院機構四国がんセンター 乳腺・内分泌外科

 

進行・再発乳がんの治療において、薬物療法は主要な位置を占める。薬剤の開発が進むにつれ、患者予後の改善も得られていることからも、与えられた薬剤をいかに戦略的に用いるかが重要になっている。まずHER2陽性乳がんに対しては、Oncogene Addictionに基づく治療戦略としてHER2受容体を標的にすえた治療開発が進んでいる。以前から利用可能なトラスツズマブ、ラパチニブに加えて、最近ではHER2受容体のダイマー化を阻害するペルツズマブ、トラスツズマブと抗癌剤を結合させたT-DM1が、グローバル第3相試験のCLEOPATRA試験及びEMILIA試験において無増悪期間の延長等を示し、近々本邦で承認を受ける。またHER2と同様シグナル伝達に深く関わるとされるHER3受容体を標的にした阻害剤の開発も行われている。これらの薬剤による戦略の確立が急務である。トリプルネガティブ乳がんに対してはDNA障害性抗癌剤の使用やこのタイプの乳がんにおけるDNA障害修復機能を司るとされるpoly(ADP-ribose) polymerase(PARP) 阻害剤の研究開発、その他分子生物学的特性に対する分子標的薬剤も開発途上である。ホルモン受容体陽性乳がんに関しては、ホルモン療法耐性に関わるm-TORの阻害剤とホルモン剤との併用療法が無増悪期間においてホルモン単独よりも有用性が示され(BOLERO-2試験)、ホルモン療法耐性に対する有力な治療となり得る。これらの治療法においては有用なバイオマーカー確立が必要であり、今後の課題である。
また抗癌剤においても、新規薬剤としてNab-パクリタキセル、エリブリンの新規抗チューブリン剤が第3相試験において有用性が示された薬剤として上市されているが、その作用機序や特性に基づいて、腫瘍のphenotype毎のより的確な使用の可能性もある。また根治不能なこれらの症例に対し、薬物療法で得られた治療効果を維持したり(維持療法)、ステージ4期症例に対して薬物療法に手術療法を組み合わせたりすることにより、患者予後改善に繋げることも課題となっている。
これら諸研究の現況を振り返るともに、予後改善を目指した戦略的な薬剤療法の適応を考察してみたい。

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