演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

Bench to Home (トリプルネガティブ乳癌を基礎から考える)

演題番号 : OS6-1

[筆頭演者]
津田 均:1 
[共同演者]
田辺 裕子:2、小野 麻紀子:3、吉田 正行:4、田村 研治:2

1:防衛医科大学校 病態病理学講座、2:国立がん研究センター中央病院 乳腺・腫瘍内科、3:国立がん研究センター研究所 分子細胞治療研究分野、4:国立がん研究センター中央病院 病理・臨床検査科

 

トリプルネガティブ乳癌は、ホルモン受容体であるエストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PgR)とHER2の3分子の発現がいずれも陰性の乳癌と定義される。判定は免疫組織化学(IHC)法を基本とし、HER2に関しては必要に応じISH法を併用して行われる。手術可能なTNBCに対する治療には手術と術前・術後の化学療法が行われるが、化学療法に対する反応性や患者予後は症例間で異なり、化学療法が奏効して手術検体内の癌が消失する病理学的完全奏効(pCR)が得られる例から化学療法の経過中に腫瘍が増大する臨床的病状進行(PD)となる例まで様々な結果を生じ得る。しかしながら、既存の指標でTNBCの化学療法感受性予測は困難であるため、多くのバイオマーカー研究が行われてきた。TNBCは組織学的には髄様/非定型髄様癌、アポクリン癌、化生を伴う癌、などいくつかの明らかな特徴を示す群を含む。近年は、遺伝子発現プロファイルによる分子レベル分類が行われ、basal-likeやclaudin-lowなどの群が知られるようになり、生物学的意義が検討されている。いずれも臨床応用には至っていないものの、将来的にTNBCの化学療法感受性予測や治療標的分子開発に役立つことが期待される。Basal-like、claudin-low等の分類を簡便な病理形態やIHC法を用いて分類する代替法も検討されてきた。化学療法にてpCRが得られる頻度が高いTNBCの特徴として、腫瘍浸潤リンパ球、アポトーシス、アポクリン亜型や髄様/非定形髄様型などが抽出され、一方、化学療法抵抗性のTNBCには化生を伴う癌が多くみられる。現在、化学療法抵抗性のTNBCについて上皮-間葉移行(EMT)、多剤耐性遺伝子産物、等の観点から検討を加えているところである。

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