演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

第III相臨床試験ACTS-GCの保存病理標本を用いたバイオマーカー研究:総括報告

演題番号 : OS5-6

[筆頭演者]
市川 度:1 
[共同演者]
寺島 雅典:2、落合 淳志:3、北田 浩二:4、倉橋 一成:5、笹子 三津留:6

1:防衛医科大病 腫瘍化学療法部、2:静岡県立静岡がんセ、3:国立がん研究セ東病、4:福山医療セ、5:東京大大学院、6:兵庫医科大

 

【背景と目的】ACTS-GC試験(TS-1胃がん術後補助化学療法比較試験)によってStage II、III胃癌のTS-1の術後補助療法が標準治療となったが、TS-1投与群の5年無再発生存率は64.5%とまだ改善の余地がある。そこで、さらに有効な治療法の開発と共に、症例毎のTS-1に対する感受性を考慮した治療計画が重要となる。我々はACTS-GC登録症例の手術切除病理標本を用いて胃癌における各種バイオマーカーを測定し、診療情報との関連性を解析することにより予後因子とTS-1の効果予測因子を探索した。【方法】無再発生存期間、生存期間、再発部位等の診療情報を評価項目とした。測定項目として、腫瘍内における63種の遺伝子発現量を定量的RT-PCRにて、7種のタンパク発現量を免疫組織化学にて、HER2およびMETの遺伝子増幅をdual-ISH法にて、KRAS変異をPNA-enriched direct-sequencing法にて検討し、評価項目との関連を解析した。【結果】ACTS-GC試験に登録された1059例のうち、829例(78.3%)のパラフィン包埋病理標本を集積した。主な癌関連遺伝子のうち、HER2過剰発現は13.6%、EGFR過剰発現は9.0%、MET過剰発現は21.0%、KRAS変異は7.1%に認められた。多変量解析の結果、EGFR過剰発現は予後不良因子であり、MET過剰発現も予後不良の傾向があった。これらの因子とTS-1の治療効果の間には交互作用は認められなかった。一方、抗癌剤感受性因子として知られているものの中でTS、DPD、ERCC1は予後因子ではなかったものの、TS-1の治療効果と有意な交互作用を認め、いずれも高値群にてTS-1の治療効果が高かった。さらに、63遺伝子の発現量を検討した結果、IGF1RとAREGが最も強く生存期間と関連しており、IGF1R高値群とAREG低値群の転帰が有意に転帰不良であった。手術切除後の転移再発形式としてリンパ節、腹腔内、血行性転移が知られているが、手術切除腫瘍組織内の遺伝子発現との関連も解析している。【結語】治癒切除胃癌のpivotal な大規模試験のバイオマーカー研究は世界でも初めての試みであり、バイアスがなく精度の高い結果を得ることができたと考えられる。今後、治験および臨床試験を進める上で有用な情報となることが期待される。

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:バイオマーカー

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