演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

胃癌におけるHER2,EGFR,c-Met,PDGFR,c-Kitの発現と予後との関連性(多施設共同研究)

演題番号 : OS5-5

[筆頭演者]
黒川 幸典:1 
[共同演者]
松浦 成昭:2、木村 豊:3、川端 良平:4、足立 真一:5、藤田 淳也:6、西川 和宏:7、高橋 剛:1、瀧口 修司:1、森 正樹:1、土岐 祐一郎:1

1:大阪大学大学院 消化器外科、2:大阪大学大学院 保健学科 分子病理学、3:NTT西日本大阪病院 外科、4:市立堺病院 外科、5:市立池田病院 外科、6:市立豊中病院 外科、7:大阪府立急性期総合医療センター 外科

 

【目的】近年、HER2陽性胃癌に対するトラスツズマブの有用性が明らかとなったが、HER2以外の様々なチロシンキナーゼ受容体を標的とした分子標的薬の開発も盛んに行われている。そうした中で、HER2に限らずこれらのバイオマーカーが胃癌の予後因子と言えるかどうかについては明らかでないため、今回胃癌切除標本におけるHER2ならびにその他のチロシンキナーゼ受容体の発現と予後との関連性を調べる多施設共同研究を実施したので報告する。【方法】対象は、全11施設で2000~2006年に外科的切除されたpStage I-IVの胃癌1153例。術前補助療法を受けた症例は除外した。切除標本のホルマリン固定組織を病理中央判定医に送付し、免疫組織化学検査(IHC)による各バイオマーカーの発現の有無を調べた(EGFR、c-Met、PDGFR、c-Kitについては1153例中153例のみで実施)。HER2に関しては、IHCにて(2+)と判定された場合にはFISH法による判定も追加した。これらの判定結果と臨床病理学的因子ならびに術後全生存期間(OS)との関連性について統計学的に検討した。【結果】1153例全例でのHER2陽性割合は15.7%であり、HER2陽性例は分化型で有意に多く(P<0.001)、主占居部位がU領域の症例に多い傾向(P=0.065)を認めた。HER2陽性例はHER2陰性例に比べてOSが有意に悪かった(HR 1.55, 95%CI: 1.21-1.97, log-rank P<0.001)。サブ解析では、いずれのpStageにおいてもHER2陽性例のOSが不良であり、Cox多変量解析でもHER2発現は有意な予後因子であった(P<0.001)。一方、EGFR、c-Met、PDGFR、c-Kitの陽性割合はそれぞれ14.4%、74.5%、41.2%、11.1%であり、c-Met陽性例とPDGFR陽性例は主占居部位がU領域の症例で有意に多く(P=0.049, P=0.015)、PDGFR陽性例は分化型で有意に多かった(P=0.003)。EGFR陽性例は陰性例に比べてOSが悪い傾向(HR 1.60, 95%CI: 0.94-2.71, log-rank P=0.084)を示し、c-Kit陽性例は陰性例に比べてOSが有意に良好(HR 0.42, 95%CI: 0.17-1.02, log-rank P=0.048)であったが、Cox多変量解析ではHER2以外のバイオマーカーとしてはc-Kitのみが有意な予後因子であった(P=0.043)。【結語】外科的切除を行った胃癌において、HER2発現は有意な予後不良因子である。また、c-Kit発現も胃癌の新たな予後マーカーとなり得る可能性が示唆された。

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:バイオマーカー

前へ戻る