演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

切除可能な肝転移予後の向上を目指した新たな補助化学療法有用性の検証に向けて

演題番号 : OS3-8

[筆頭演者]
大場 大:1 
[共同演者]
長谷川 潔:1、三瀬 祥弘:1、吉岡 龍二:1、進藤 潤一:1、山本 訓史:1、竹村 信行:1、石沢 武彰:1、金子 順一:1、青木 琢:1、阪本 良弘:1、菅原 寧彦:1、國土 典宏:1

1:東京大肝胆膵外科

 

大腸がんの転移様式の半数以上が肝転移であり、StageIVと扱われるも他がん腫のそれとはふるまいを異にし、外科的切除により生存予後の向上だけではなくcureのチャンスも見いだせる。一方で、大腸がん薬物治療の進歩が著しい昨今、肝転移診断時に「とりあえず」化学療法が導入される状況が増えてきており、必ずしも切除が念頭に置かれているとは言い難い。本来「切除可能」な症例が施設・主治医の主観で「切除不能」にされていることも決して少なくはない。過去1994年-2011年の当教室におけるup-frontに根治的な肝切除が可能であった大腸がん肝転移422例のうち第3相LVUFT試験(UMIN-CTR: C000000013)登録患者を除外した371例を対象とした生存予後は、グローバルで「切除可能」対象として扱われている転移個数4個以下の症例 (N=274) については、OS中央値:8.03 yr、5yr-OS率:59.3%、一方で「切除不能」対象として扱われる転移個数5個以上の症例 (N=97) では、OS中央値:2.76 yr、5yr-OS率:37.2%であった。また、surgery alone(S)群291例と何らかの術後補助化学療法が施行された(CT)群80例の生存成績(S群 vs CT群)について、DFS中央値:0.68 yr vs 0.77 yr、3yr-DFS:25.0% vs 18.6% (P=0.56, HR:1.1)で、OS中央値:5.05 yr vs 8.16 yr、5yr-OS率:49.7% vs 68.9% (P˂0.05, HR:0.7)であった。 再発率:74.9% vs 80.0% (P=0.35)、repeat resection率:51.4% vs 65.6% (P˂0.05)で、補助化学療法による有効性は再発イベントの抑制ではなく、repeat resection率の有意な上昇がsurvival benefitに寄与していた。大腸がん肝転移患者の生存予後向上のためには、肝切除に対する補助化学療法の開発が必要不可欠である一方で、レジメン内容や、投与方法として術前or術後or周術期のどれが最適なのかを検証した明確なエビデンスが求められる。実臨床において、もはやsurgery aloneが選択されにくい現状では、NSABP C-11試験や、KRAS野生型を対象としたわが国のEXPERT試験が新たな道標になると期待されている。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:手術療法

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