演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

がん悪液質への取り組み ~栄養介入とリハビリテーション~

演題番号 : OS26-3

[筆頭演者]
大野 綾:1 

1:聖隷浜松病院 リハビリテーション科

 

がん悪液質は悪性腫瘍患者全体の50-75%が悪液質を呈し、進行期がんにおいては80%が悪液質を来しているとされる。悪液質は化学療法や放射線療法への耐性を低下させ、術後合併症を来しやすくするとされ、予後悪化因子となる。EPCRC(European Palliative Care Research Collaborative)のがん悪液質ガイドラインでは、悪液質を重症度によりpre-cachexia 、cachexia、refractory cachexiaの3段階に分類している。
当院では、がんが主病名の入院リハビリテーション(以下リハビリ)処方のうち、進行期・終末期がん患者のリハビリが約40%を占める。これらに関して悪液質の分類を行ったところ、判定可能のもののうち約30%がcachexia、約50%がrefractory cachexiaに該当した。
悪液質ではサイトカインや腫瘍産生因子の作用により筋肉の蛋白分解をきたす。様々な原因によって高率に生じる栄養障害、治療や症状に伴う廃用症候群も筋肉萎縮の原因となる。これらにより特に進行期・終末期がん患者では筋肉減少症(サルコペニア)が深刻である。リハビリは筋肉の活動を主体とするため、悪液質や栄養障害はリハビリに直結する問題といえる。がん患者に対してリハビリを行うにあたり、悪液質や栄養状態の評価は非常に重要である。
また一方で、運動療法により炎症反応を抑制し筋肉量を維持できるとして、運動療法が悪液質に対する治療に有用との知見もある。Fearonらは、「cachexia」の段階において栄養介入と抗炎症治療、運動療法などの集学的治療を行うことを推奨している。早い段階で栄養介入とリハビリを組み合わせることにより悪液質の進行を抑制できる可能性がある。
がんそのものや治療によって様々な障害を抱えるがん患者にとって、障害と生活をみるリハビリが必要である。また、がん治療において治療を継続できる身体状態を維持することが重要であり、栄養介入を行いながらのリハビリはがん治療の支持的療法としての意義もあると考える。このような役割を果たすためにも、がんのリハビリにおける悪液質や栄養障害の評価方法、悪液質・栄養障害の段階に応じた適切な運動負荷量など、今後検討すべき内容は多い。
がん悪液質に対する栄養介入とリハビリについて最近の知見を紹介する。 

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