演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

多職種チームでのがんリハビリテーションの取り組み~食道癌・造血幹細胞移植を中心に~

演題番号 : OS26-2

[筆頭演者]
井上 順一朗:1 
[共同演者]
小野 玲:2、牧浦 大祐:1,2、柏 美由紀:1、岡村 篤夫:3、薬師神 公和:3、中村 哲:4、今西 達也:4、掛地 吉弘:4、土井 久容:5、石橋 有希:6、三浦 靖史:1,2、酒井 良忠:1,7、佐浦 隆一:8

1:神戸大医学部附属病院 リハビリテーション部、2:神戸大院保健学研究科、3:神戸大院医学研究科 内科学講座 腫瘍・血液内科学分野、4:神戸大院医学研究科 外科学講座 食道胃腸外科学分野、5:神戸大医学部附属病院 看護部、6:神戸大医学部附属病院 腫瘍センター、7:神戸大院医学研究科 外科系講座 リハビリテーション機能回復学分野、8:大阪医科大 総合医学講座 リハビリテーション医学教室

 

 がん患者では、疾患自体が体力低下や機能障害を引き起こすだけでなく、手術、化学・放射線療法などによっても全身状態の悪化が起こりえる。従って、原疾患の増悪に伴う一次的・二次的機能障害に対する治療的リハビリテーション(リハビリ)のみならず、がんの種類や部位から今後起こりえる症状を予測し、かつ治療後に予想される合併症や機能障害を未然に防ぐための治療前後からの予防的リハビリも重要である。また、これらの特性を踏まえ、がん患者にリハビリを実施する際には、多職種で構成された医療チーム(チーム)による情報共有や継続的な介入が必要不可欠である。当院では、食道癌患者に対する術後呼吸器合併症(PPCs)予防のための呼吸リハビリや造血幹細胞移植患者に対する廃用症候群予防・早期社会復帰を目的としたリハビリをチームにて積極的に実施し、良好な成果を挙げている。食道癌に対する胸腔鏡下食道切除再建術では、PPCsは23.2~28.9%と高い発症率が報告されている。従ってPPCs予防は重要であり、当院ではチーム介入により術前から退院まで継続的な呼吸リハビリを実施している。特に周術期では、術後の適切な呼吸・循環管理やリスク管理についてチーム内で検討し、手術翌日よりICUでの呼吸訓練・筋力トレーニングを行い、早期離床を目指している。当院のチームによる介入効果について検討したところ、介入前ではPPCs発症率が16.2%であったものが、介入後には4.3%と著明に低下しており、その有用性が確認されている。造血幹細胞移植では、移植前大量化学療法や放射線治療、移植後合併症、クリーンルームでの安静など、その特殊な治療過程にて、廃用症候群をきたす可能性が極めて高い。廃用症候群予防のためには、治療期間中、患者の身体活動量を維持・向上させることが重要である。当院では、チームで患者の病態や治療内容、リスク管理などについて検討し、移植前より退院まで患者の身体活動量を歩数計でモニタリングしながら、予防的かつ治療的なリハビリを実施している。このような移植期間中の早期リハビリ介入により、患者の身体活動量の維持やQOLの向上、入院期間短縮などの効果が認められており、早期社会復帰に繋がることが期待される。以上、がん患者に対してリハビリを実施する際には、チーム全体での情報共有、リスク管理、リハビリ介入が重要であり、チーム医療の実践により、よりよい効果が得られるものと期待される。

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