演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

我が国の現状と今後の動向 がんのリハビリテーションガイドラインの策定を中心に

演題番号 : OS26-1

[筆頭演者]
辻 哲也:1 

1:慶應義塾大学医学部 リハビリテーション医学教室

 

「がん対策基本法」においては、基本的施策として、がん患者の療養生活の質の維持向上を行うことが謳われている。しかし現実には、治癒を目指した治療からQOLを重視したケアまで切れ目のない支援をする点で日本のがん診療はいまだ不十分である。患者にとっては、がん自体に対する不安は当然大きいが、がんの直接的影響や治療による身体障害に対する不安も同じくらい大きい。がん生存者が500万人に達する2015年を迎える現在、がん予防から終末期まで様々な病期におけるがんリハビリテーション(以下、リハ)の取り組みは今後ますます重要になると予想される。がんリハの領域を発展させていくためには、研究(Research)を推進しそれに裏付けされたガイドライン(Guideline)を策定、そしてそのガイドラインに基づいた臨床研修(Training)を実施し、専門的スタッフを育成することで医療の質を担保し、その上で医療を実践する(Practice)ことが望まれる。研究面に関しては、がんリハビリに関する関連学会での教育講演、シンポジウムや一般演題の発表は年々増加傾向にある。ガイドラインに関しては「がんのリハビリテーションガイドライン作成のためのシステム構築に関する研究(平成22~24年度第3次対がん総合戦略研究事業、主任研究者:辻哲也)」が日本リハビリテーション医学会診療ガイドライン委員会がんのリハビリテーションガイドライン策定委員会と協同する形でガイドライン策定に取り組み、平成25年4月には公開された。臨床研修に関しては厚生労働省委託事業として、CAREER (Cancer Rehabilitation Educational program for Rehabilitation teams) が始まり、平成24年度までに全国の厚生労働省指定・自治体指定がん診療連携拠点病院397施設のうち計223施設(56%)から各施設1グループ以上が参加した。実際の診療においては、平成22年度の診療報酬改定で「がん患者リハビリテーション料」が新設されるなど、我が国におけるがんリハはこの10年で大きく発展してきた。がん医療が外来シフトしていく中での外来診療におけるサポーティブケアの拡充、小児がん患者対策、がんサバイバーの社会復帰に向けた支援、進行がん・末期がん患者の在宅ケアもこれからの重要な課題である。リハの果たしうる役割は大きいので、これからの10年に向けて、本医学会としても、がんリハ分野に関する取組みをさらに進めていきたい。

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