演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

臨床検体に基づく肝細胞癌の致死的再発機序の解析と新規分子標的治療への応用展開

演題番号 : OS24-3

[筆頭演者]
田中 真二:1 
[共同演者]
藍原 有弘:1、松永 浩子:1、茂櫛 薫:2、中尾 圭介:1、三浦 智也:1、松村 聡:1、伴 大輔:1、入江 工:1、落合 高徳:1、工藤 篤:1、中村 典明:1、田中 博:2、田邉 稔:1、有井 滋樹:1

1:東京医科歯科大学 肝胆膵・総合外科学、2:東京医科歯科大学 情報医科学センター

 

【背景】肝細胞癌は治癒切除後もしばしば再発を認めるが、その生命予後は再発様式によって異なる。根治的治療が可能な再発であれば再治療によって比較的良好な予後が期待できるが、根治的治療が不可能な再発症例の予後は極めて厳しく、その克服は喫緊の課題である(J Am Coll Surg 2007)。我々は肝細胞癌の再発様式に基づき、臨床検体の分子生物学的解析によって治療標的を同定し、新たな分子標的治療の開発を進めている。【方法】当科における肝細胞癌の治癒切除症例538例を用いて、根治的治療が不可能な再発(致死的再発)を検証した。臨床検体の網羅的遺伝子発現解析により、致死的再発の遺伝子シグネチャーと規定分子ネットワークを同定した。その分子生物学的解析を基盤として、新たな分子標的治療を前臨床試験によって検証するとともに、抵抗性獲得メカニズムの解析に基いて新規併用療法を開発した。【結果】肝細胞癌の臨床検体を用いた網羅的遺伝子発現解析に基づき、致死的再発の特異的遺伝子シグネチャーを見出した。ネットワーク解析を用いて致死的再発を予測する唯一の独立規定因子として特異的キナーゼを同定し、ゲノム不安定性と強い相関を示すことを明らかにした(Br J Surg 2008, Cancer Sci 2009)。ヒト肝癌細胞におけるキナーゼ阻害剤の効果を解析し、肝腫瘍モデルを用いて治療効果を証明した(J Hepatol 2010, Semin Oncol 2012, Hepatology in press)。さらに、ヒト肝癌細胞における治療抵抗性の獲得メカニズムを解析した。その結果、抵抗性獲得に伴うBcl2生存シグナル亢進を見出し、Bcl2阻害剤によってキナーゼ阻害剤感受性が回復すること、前臨床試験を用いて併用分子標的治療が顕著な治療効果を示すことを明らかにした。現在、新しい二重キナーゼ阻害剤の有効性を肝腫瘍モデルによって解析し、イメージアナライザーを用いてin vivo作用機序を検証している。【結論】肝細胞癌の治癒切除後再発の分子生物学的解析によって、新たな分子標的治療への応用が示唆された。抵抗性獲得の機序解析に基づいた併用分子標的治療の開発は、臨床展開への応用性を示す成果として期待できる。

キーワード

臓器別:肝臓

手法別:分子標的治療

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