演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

肝細胞患者におけるソラフェニブ投与に伴う副作用発現と薬物動態学的因子の関連

演題番号 : OS24-2

[筆頭演者]
島田 美樹:1,2 
[共同演者]
大川 星美:2、前嶋 隆弘:1、近藤 泰輝:3、下瀬川 徹:3、久道 周彦:1、松浦 正樹:1、眞野 成康:1,2

1:東北大病 薬剤部、2:東北大院薬、3:東北大病 消化器内科

 

【目的】肝細胞癌の治療に用いられる経口分子標的薬ソラフェニブは、副作用の発現率が高く、長期服用が困難な薬物の一つである。本薬物は、他の治療法で不応と判断された患者に用いられることが多く、そうした患者にとって本薬物を用いる癌化学療法の断念は、癌治療そのものの断念を意味することから、副作用を回避しつつ、本薬物の服用を継続することが極めて重要となる。そこで本研究では、ソラフェニブおよび主要代謝物であるN-オキシドの血中濃度をモニターし、それらの体内動態と副作用発現との関連について調査することとした。
【方法】本研究は、東北大学医学系研究科倫理委員会の承認を得て行った。同意の得られた患者を対象とし、入院患者については、ソラフェニブ投与前、投与2、6、12時間後、およびその後は朝の服用前に週3回継続して採血した。また、外来患者の場合は、診察当日の朝の服用前に採血した。患者血清200 μLに内標準物質を含むアセトニトリル溶液を添加し、よく混和した。遠心後、上清をODS系固相抽出カラムに通導して水溶性夾雑物を除去した後、 HPLC分析に付した。ソラフェニブとN-オキシドの血中濃度を求め、ソラフェニブの服用開始日から7日目までのソラフェニブのトラフ値を基に求めた時間曲線下面積をAUCsorafenibN-オキシドのそれをAUCN-oxideとし、AUCN-oxideのAUCsorafenibに対する比をAUC比として算出した。これらのパラメーターと、服用開始1カ月以内に減量や中止を要した副作用発現との関連につき、スチューデントのt検定により解析した。
【結果】当院にてソラフェニブ投薬中の肝細胞癌患者の血中濃度を経時的に追跡したところ、一過性のソラフェニブ濃度の上昇時に手足症候群の発現(G2)が確認された。この結果から、副作用の発現と血中濃度の関連が示唆されたため、次に14症例について副作用の発現に伴うソラフェニブの減量や中止と、ソラフェニブおよびN-オキシドの体内動態との関連を調べた。その結果、AUCN-oxideおよびAUC比と、副作用の発現に関連があることが示唆された。以上の結果から、服用初期の個々の患者におけるソラフェニブの動態把握が、服用開始後1カ月以内の減量や中止を必要とする副作用の発現の予測に有用である可能性が示唆された。

キーワード

臓器別:肝臓

手法別:分子標的治療

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