演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

デスモイド腫瘍に対する治療戦略

演題番号 : OS23-4

[筆頭演者]
西田 佳弘:1 
[共同演者]
濱田 俊介:1、筑紫 聡:1、浦川 浩:1、小澤 英史:1、新井 英介:1、二村 尚久:1、生田 国大:1、石黒 直樹:1

1:名古屋大学大学院 医学系研究科 整形外科学

 

デスモイド腫瘍はAPC遺伝子異常に起因して主に腹腔内に発生する群とbeta-cateninの遺伝子異常により主に腹腔外に発症する群に分けられ、整形外科の骨・軟部腫瘍専門医は後者を治療の対象とする。しかし、身体の様々な部位に発生するため、耳鼻科・外科・胸部外科・内科などの科で診断・治療を担当する症例が少なくない。一方、稀な腫瘍であるため、多くの症例において適切な診断に基づいて適切な治療方針を提示されているとは言いがたい。腹腔外デスモイド腫瘍に対しては、これまで断端陰性の組織学的切除縁による手術が治療の中心であったが、高い再発率と術後の機能低下などにより治療戦略は大きく変わりつつある。当施設では2003年までは広範切除治療を実施し、2003年以降は治療方針を広範切除からメロキシカム内服による保存治療に変更して前向きに治療している。治療成績は、2003年までの広範切除治療を実施した30症例中、16例(53%)に再発を認め、2003年から2010年までのメロキシカム治療33例中、治療効果判定でPDは4例のみであり、29例(88%)は制御可能であった。PD4例中1例ではMTX+VBL治療でも制御不良であったが、DTIC+DOXにより腫瘍縮小を認めた。メロキシカムの治療効果に有意に影響を与えた因子は年齢と性であった。2010年以降のメロキシカム治療13例ではPDを10例に認め、全体的に成績不良であった。しかし、これらの10例に対しては引き続いて低用量の抗癌剤治療(MTX+VBL)あるいは辺縁切除による機能温存手術を実施することで、全例良好な治療成績を得ている。患肢機能評価(ISOLS評価)可能であった症例については手術群より保存治療群において有意に良好な結果であった。また2003年以降の症例において放射線治療を要した症例はなかった。本発表では、腹腔外発生のデスモイド腫瘍患者に対する治療を1:メロキシカム内服、2:辺縁切除による手術、3:MTX+VBLによる低用量抗癌剤治療を中心に構成し、年齢・性・MRI画像評価・メロキシカムの治療効果・MTX+VBLの治療効果を各治療の選択基準とすることで、これまで確立されていなかった治療のアルゴリズムを提示する。将来に向けての問題点は、症例を積み重ねてアルゴリズムにおける各治療の中止時期、放射線治療とDTIC+DOXのような高用量の抗癌剤治療の役割を明らかにすることである。

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