演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

骨巨細胞腫治療薬としてのデノスマブの出現と今後の治療戦略

演題番号 : OS23-3

[筆頭演者]
森岡 秀夫:1 
[共同演者]
西本 和正:1、堀内 圭輔:1、渡部 逸央:1、須佐 美知郎:1、戸山 芳昭:1

1:慶應義塾大学医学部 整形外科学教室

 

骨巨細胞腫は類円形の単核腫瘍細胞と散在する大型の破骨細胞様巨細胞から成る、良性だが局所活動性の高い腫瘍である。良性骨腫瘍の15~20%を占め、好発部位は長管骨骨端部であり、全体の約半数が膝関節周囲に発生する。他の発生部位は橈骨遠位、上腕骨近位、腓骨近位であり、時に脊椎、骨盤にも発生する。自覚症状は、局所の腫脹と疼痛であり、良性腫瘍に分類されるが、腫瘍の増大速度は速い。初診時に関節軟骨直下まで腫瘍が進展し、約半数で皮質骨の破壊を伴い、病的骨折を生じてから医療機関を受診することがある。治療は、病巣掻爬を行い、骨欠損部は骨移植や骨セメントを充填するなどの方法が標準的であるが、単純掻爬では30~50%が再発すると言われており、局所補助療法を追加することが多い。En bloc切除は再発率を低下させるが、機能の損失という問題があり、また脊椎、骨盤の進行例では切除も困難であり、治療に難渋することが多い。一方デノスマブは、RANKLを標的とする新規薬剤であり、破骨細胞の活性を抑制する。破骨細胞は、骨量減少を伴う骨粗鬆症、骨破壊をきたす癌の骨転移・多発性骨髄腫などで、骨強度低下における主役を演じている。この破骨細胞を抑制することで、骨量減少・骨破壊を阻止する分子標的治療薬がデノスマブであり、既にこれらの疾患では臨床応用が進み、保険適応になっている。一方、骨巨細胞腫は腫瘍細胞にRANKLを高発現しており、これを標的としたデノスマブの骨巨細胞腫に対する有効性を検証する臨床試験が近年行われ、その高い奏効率が報告された。現在、国内でも治験が行われており、本薬剤が治療に導入されれば、骨巨細胞腫の治療体系は大きく変化すると考えられる。本発表では、骨巨細胞腫に対するデノスマブの海外臨床試験結果を含めて、今後予想される治療戦略の変化について述べる。

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