演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

悪性腫瘍による気道狭窄に対し緊急気管切開術を行った症例の検討

演題番号 : OS20-4

[筆頭演者]
伊藤 研一:1 
[共同演者]
大場 崇旦:1、家里 明日美:1、岡田 敏宏:1、花村 徹:1、渡邉 隆之:1、金井 敏晴:1、前野 一真:1、天野 純:2

1:信州大医 乳腺内分泌外科、2:信州大医 外科

 

【はじめに】Structural oncologic emergencyの一つに腫瘍による気道狭窄がある。甲状腺悪性腫瘍,特に未分化癌症例では,腫瘍の急速増大による気管狭窄や両側反回神経麻痺による声門狭窄のために,気管切開による緊急気道確保が必要になることはまれではない。また,悪性腫瘍の甲状腺転移や気管周囲リンパ節転移による反回神経麻痺により, 声門狭窄が引き起こされる症例もまれに経験される。未分化癌症例などでは,気管を取り巻く腫瘍の存在下での気道確保が避けられないため,通常の気管切開とは異なる対応が必要になる。さらに,腫瘍の一部を切開して気管カニューレの挿入を施行し得た症例では,気管切開後も続く腫瘍の増大のために,定期的なカニューレ交換が困難となる場合もあり,長期間のカニューレ挿入に伴い生ずるトラブルも経験される。当科で悪性腫瘍による気道狭窄に対し、緊急気管切開術を行った症例を後方視的に検討した。
【対象と結果】2001年1月から2012年12月までに,悪性腫瘍による気道狭窄に対し緊急気管切開術を施行した症例は20例(女性13,男性7),平均年齢74.2±8.1歳。気道狭窄の原因となった疾患は,甲状腺未分化癌初発8例,未分化癌再発2例,甲状腺乳頭癌術後未分化転化4例,乳頭癌術後局所再発2例,他癌の甲状腺転移2例(乳癌1,食道癌1),甲状腺低分化癌1例,悪性リンパ腫1例であった。18例では気管切開時に呼吸困難以外にPSに影響する症状は認めなかった。14例では気管切開後に放射線外照射を施行した。気管切開後,悪性リンパ腫の1例を除く19例が死亡(原病死18,他病死1)しており,死亡19例の緊急気管切開施行後の生存期間中央値は75日(7-1095)であった。死亡19例中,乳頭癌局所再発の1例を除く18例では,死亡に至るまで気管カニューレの挿入継続が必要であり,3例では通常の気管カニューレによる気道確保が困難であり,腫瘍の増大に応じて挿入深度を変えられる可変式カニューレなどが必要になった。また,気管切開術後に腫瘍の増大に伴う気管食道瘻が1例に経験された。
【考察】頸部での悪性腫瘍の増大による気道狭窄症例では,緊急気管切開術により窒息が回避できるという点で気管切開術は有用と考えられたものの,原疾患の予後は極めて不良であった。今後,気道確保後に原疾患に対する積極的な治療が可能となるような治療戦略を構築していくことが必要と考えられる。

キーワード

臓器別:頭頸部

手法別:支持療法

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