演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

精巣腫瘍におけるOncologic emergency: choriocarcinoma symdromeに対する集学的治療

演題番号 : OS20-2

[筆頭演者]
山田 成幸:1 
[共同演者]
齋藤 英郎:1、三塚 浩二:1、安達 尚宣:1、並木 俊一:1、海法 康裕:1、伊藤 明宏:1、中川 晴夫:1、荒井 陽一:1

1:東北大院 泌尿器科

 

精巣腫瘍は、本邦で10万人に1人と比較的稀な疾患だが、15- 35 歳の若年男性において最も頻度が高い悪性固形腫瘍である。患者層が生産年齢かつ生殖年齢であるため、治療成績が与える社会的な影響は大きい。精巣腫瘍は数ある悪性固形腫瘍の中で最も化学療法が有効な癌種である。転移を有する進行性精巣腫瘍に対しては、高位精巣摘除を行った後に全身化学療法が行われ、腫瘍マーカーが正常化した上で後腹膜リンパ節郭清術を含めた残存腫瘍切除が行われる。これら集学的治療により有転移症例の治療成績は目覚ましく向上しており、精巣腫瘍は有転移症例を含めても95%以上の長期生存率が得られる、いわゆる「治る癌」である。その一方で、絨毛癌の多発肺転移に伴うchoriocarcinoma symdromeは肺転移巣からの出血により急速に呼吸不全に至るOncologic emergencyであり、非常に予後不良な病態である。同症候群は疾患の急速な進行による病態のため、対症的な全身管理のみでは不十分で疾患自体の治療としての早急な抗がん剤投与が不可欠であるが、抗がん剤投与後に腫瘍崩壊によるARDSが高率に起こりうる。choriocarcinoma symdrome症例に対する初期治療として、ARDSを予防するための減量導入化学療法を推奨する報告も見られるが、少数例の報告であり確立された指針は存在しない。当科でも、呼吸不全で来院したchoriocarcinoma symdrome症例に対して呼吸管理を含めた集中治療と減量導入化学療法を同時に施行した症例を経験している。1例は前医より転院する際に呼吸状態が急変、転院当日に人工呼吸管理の上で即日化学療法を開始した。40日間のICU管理を経て一般病棟で化学療法を継続したが、肺転移・脳転移が増悪し9ヶ月後に癌死した。もう1例は呼吸不全にて当科紹介、ICUでの陽圧呼吸管理下で化学療法を施行、8日間のICU管理後、一般病棟にて治療を継続した。2度にわたる脳転移再発にもかかわらず2年間の集学的治療でCRを得た。精巣腫瘍におけるchoriocarcinoma symdromeはOncologic emergencyであるが、陰嚢外の症状にて泌尿器科以外の科を受診することも多い。専門施設での迅速かつ適切な対応により疾患自体も治癒しうる病態であることを他科も含めて啓蒙する必要がある。

キーワード

臓器別:前立腺・男性生殖器

手法別:集学的治療

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