演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

肺癌治療個別化の問題点 - 病理診断の面から

演題番号 : OS2-2

[筆頭演者]
石川 雄一:1 

1:がん研究会がん研究所 病理部

 

肺癌、とくに肺腺癌は、遺伝子分類が可能な時代に入ってきた。日本人の肺腺癌の約4分の3は、EGFR変異肺癌、KRAS変異肺癌、ALK融合遺伝子肺癌、HER2変異肺癌などのように分類できる。このような名称は、直ちにその癌の細胞が依存している増殖シグナル伝達系と阻害剤とを明示しているので、癌の亜分類としては理想的なものである。EGFR変異肺癌は、変異の種類、耐性変異、阻害薬など研究が進んでいる。それでも診断面では、耐性変異克服、一つの腫瘍に複数の変異が存在することなどが、問題として残されている。ALK融合遺伝子肺癌の診断は、gold standardとされるFISH法が高価なこと、スクリーニングに使えるはずの免疫染色法の標準化が進んでいないことなどの問題に直面している。また、免疫染色陽性、FISH陰性となったら、治療はどうしたらよいのかという問題もある。一方、扁平上皮癌の病理診断では、近年新たな問題が生じてきた。すなわち、pemetrexed, bevacizumabなどの適応が"非扁平上皮癌"とされたので、精確な診断が要求されるという点である。"扁平上皮癌マーカー"なる言葉が使われるが、これらは実は基底細胞マーカーであり、免疫染色のみに依存することは注意が必要である。神経内分泌癌では、大細胞神経内分泌癌と小細胞癌との病理学的鑑別の問題、小細胞癌の層別化の問題(すなわち予後良好な小細胞癌を病理学的に抽出する問題)などが指摘されている。以上、本講演では、肺癌の各組織型について、患者の層別化、更に進んで治療の個別化を進めるに当たっての、病理診断上の問題点について解説する。

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