演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

卵巣癌の腹腔内播種・浸潤の制御を目指した治療法の開発

演題番号 : OS19-4

[筆頭演者]
横山 良仁:1 

1:弘前大学医学部 産科婦人科学教室

 

【目的】卵巣癌の腹腔内病変の進展・浸潤の制御と制圧を標的とした新しい治療戦略の樹立と治療法の開発を目的とする。【方法】1)Carbonyl reductase (CR)が腫瘍増殖に果たす役割:sense CR 導入T-Ag MOSE cells(CR導入群)、vectorのみ導入(コントロール群)の各細胞をヌードマウス側腹に移植し腫瘍体積の推移を5週間比較した。腫瘍内のCR発現量の定量、血管新生、apoptosisを測定した。MFG-E8発現の発現量と局在を調べ、蛍光二重染色法でPhagocytosisの出現を調べた。2)卵巣癌自然発癌マウスモデルでのクロフィブリン酸(CA)の腫瘍抑制効果:i) コントロール、ii) CA連日投与群、に分け生存期間(OS)を比較した。3)癌性腹膜炎に対する光線力学的療法とCAの併用療法の効果:DISS細胞による癌性腹膜炎マウスを作製した。コントロール(光照射)群、アミノレブリン酸メチルエステル塩酸塩腹腔内投与+光照射(Irradiated ALA methylester ip)群、Irradiated ALA methylester ip+CA投与群の3群に分けOSを比較した。4)大網切除(OM)の至適時期に関する検討:OMを行った群(A)とOMを行わなかった群に分けDISS細胞を腹腔内投与した。3週後OMを行わなかったラットを、腫瘍を含めOMを行った群(B)、OMを行わない群(C)に分けた。【成績】1) コントロール群は5週間腫瘍体積が増加した。一方、CR導入群は5週目まで腫瘍体積は増加しなかった(P < 0.001)。CR導入群の腫瘍はnecrosisが顕著であった。CR導入群の腫瘍内では血管新生が減少し(P < 0.001)、apoptosisが増加していた(P < 0.001)。MFG-E8蛋白発現はCR導入群で有意に増加していた(P < 0.002)。MFG-E8発現箇所でマクロファージによるapoptosis細胞の貪食像が観察された。2)OS中央値はコントロール群の111日、CA投与群では149日であった(P < 0.01)。3) OS中央値26日のコントロール群に比べさらにはIrradiated ALA methylester ip群と比べてもIrradiated ALA methylester ip+CA群で有意な生存期間の延長が得られた(各々P < 0.01、P < 0.05)。4)CのOS中央値はC35日間、A42日間、Bの6頭は実験終了まで生存した。【結論】卵巣癌の進展・浸潤に対しCRが中心的な役割を果たしていた。CR発現を誘導するCAは癌性腹膜炎の補助療法として臨床応用の可能性が示された。卵巣癌の腹腔内病変に対する光線力学的療法とCAの併用療法の効果を実証した。早期の卵巣癌における大網切除の是非について再考察の必要性を提示した。

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