演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

OMICS dataに基づいた進行漿液性卵巣癌に対する新しい治療戦略の確立

演題番号 : OS19-3

[筆頭演者]
吉原 弘祐:1 

1:新潟大院医 産婦

 

漿液性卵巣癌は、上皮性卵巣癌で最も頻度の高い組織型で、5年生存率は約30-40%と依然として予後不良な疾患であり、予後の改善を目的とした新たな治療戦略が求められている。本研究では、進行漿液性卵巣癌における分子生物学的不均一性に着目し、治療の個別化による予後の改善を目指し、OMICSデータに基づいた進行漿液性卵巣癌に対する新しい治療戦略を確立することを目的とした。本研究は国内22施設による共同研究として計画され、各施設内倫理委員会の承認を得て実施された。十分な説明後、研究への同意が得られた漿液性卵巣癌症例のうち、初回手術後にタキサン/プラチナ併用化学療法を受けた進行期 III/IV期症例で、中央病理診断によりSilverberg分類 G2/3漿液性腺癌と診断された300症例を採用した。260症例のマイクロアレイデータを用いて、126遺伝子からなる予後予測リスクモデルを作成し、その有効性を外部マイクロデータも含めた794症例で検証した。検証データセットにおいて、低リスク群では、高リスク群に比し、生存期間、無増悪生存期間の有意な延長が確認された。高/低リスク群の分子生物学的特徴を明らかにするために、260症例のマイクロアレイデータを用いて、GO解析/GSEAを行い、高リスク群では免疫システム関連遺伝子の発現が有意に低下していた。さらにパスウェイ解析により、抗原提示パスウェイの抑制が、最も高リスク群を特徴づけるパスウェイとして同定された。エクソーム解析及びコピー数変化解析を行い、抗原提示パスウェイ上の遺伝子では、体細胞性変異を認めず、遺伝子欠失の頻度も低く、可逆的な遺伝子変化である可能性が高く、抗原提示パスウェイの再賦活化は、高リスク漿液性卵巣癌での新しい治療標的になることが示唆された。

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