演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

アグレッシブリンパ腫の治療

演題番号 : OS18-2

[筆頭演者]
石澤 賢一:1 

1:東北大病 臨床試験推進セ/血液・免疫科

 

アグレッシブリンパ腫は、疾患の進行が月単位のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫、非特定などのT細胞リンパ腫の総称である。これらはCHOP療法を代表とする第一世代の化学療法により45-55%の完全寛解率が得られ、30-35%は治癒することが示された。1980年代には、抗悪性腫瘍薬6-8剤を併用した第二、第三世代の化学療法が開発され、第二相試験で寛解率55-65%まで改善することが示されたため、SWOGを中心とした北米の臨床試験グループは、CHOP療法とMACOP-B療法に代表される三つの第三世代の化学療法との無作為化比較試験を実施した。その結果3年の無病生存率は4群ともに差がなく、より毒性の低いCHOP療法が標準療法とみなされた。その後CHOP療法をベースとして、治療間隔短縮、投与量増加の検討が実施されたが、治療効果の改善は認められなかった。これらは従来の抗悪性腫瘍薬の限界を明確に示したもので、新たな作用機序の抗悪性腫瘍薬の臨床導入が必須と認識された。1990年代に抗CD20キメラ型モノクローナル抗体リツキシマブが開発されたが、単剤でのびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対する臨床効果は限定的であった。フランスのGELAは、リツキシマブを併用したCHOP療法(R-CHOP療法)とCHOP療法の比較試験を実施し、観察期間の中央値2年の時点で、無イベント生存率のみならず全生存率もR-CHOP療法が上回り、R-CHOP療法が標準治療と認識され、現在に至っている。しかしアグレッシブリンパ腫に対する治療予後予測モデルである国際予後指標で高中間リスク群、高リスク群は、R-CHOP療法の4年全生存率55%と治療成績はいまだ不十分であり、治療成績改善のため二つのアプローチが検討されている。一つ目はR-CHOP療法そのものの治療成績向上を目指すもので、ヒト化抗CD20抗体obinutuzumab併用CHOP療法とR-CHOP療法の比較試験が進行中である。またブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤ibrutinibとR-CHOP療法の併用も試みられている。二つ目は寛解後の地固め療法の検討である。再発アグレッシブリンパ腫に対する有効な治療戦略である自家末梢血幹細胞移植併用大量化学療法が、寛解到達後にup-frontで実施されたが、これまで十分な治療成績の向上は得られていない。またPKC-β阻害剤enzasturinのプラセボ対象第3相試験では、その有用性は証明されなかった。同様のデザインでmTOR阻害剤everolimusの第3相試験が実施中である。

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