演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

日本の治療開発体制の構築と近未来像-悪性黒色腫を中心に-

演題番号 : OS17-2

[筆頭演者]
宇原 久:1 

1:信州大学医学部 皮膚科学教室

 

半世紀の間、本邦では旧厚生省、厚生労働省、国立がん研究センターの助成金で構成された施設が中心となって、疫学的な調査、手術療法、新しいレジメンの開発、先進的な免疫療法、遺伝子治療、などについて検討を行なってきた。ダーモスコピーやセンチネルリンパ節生検など、がん研究助成金の検討から高度先進医療、先進医療に発展し、最終的に保険収載された技術もある。一方、本法で認可されている皮膚がんに対する薬剤は極めて少なく、1962年のシクロフォスファミド以後、2012年のパクリタキセルまで50年間でわずかに12しかない。このため長い間進行期症例に対する治療法の開発には難渋してきた。 2012年にThe Japan Clinical Oncology Group(JCOG)に皮膚腫瘍グループ(代表者:山崎直也、国立がん研究センター中央病院皮膚科))が設けられた。現在17施設が認定され、血管肉腫や乳房外パジェット病についての多施設共同の医師主導型臨床試験案について検討が行われている。また、転移性メラノーマの治療薬として細胞増殖に関わる遺伝子変異をターゲットにした薬剤が欧米で認可されてきており、遺伝子変異の有無によって患者ごとにカスタマイズされた治療選択が必要になってきている。この準備のためRAS/MAPK経路に関わる遺伝子変異を初回利用時に予め調べておくシステムが本年6月よりJCOG皮膚腫瘍グループで開始された。患者自身が初回治療時に自分の腫瘍の遺伝子プロファイルを持つことにより、転移出現時の治療選択を速やかに行えるシステムになることを期待している。 欧米に比べて日本人の皮膚がん患者数は少ないが、この数年、本邦でも高齢化により急速に患者数は増えている。また、本邦のメラノーマ患者は白人に比べて進行期の割合が高いため(本邦におけるメラノーマによる年間死亡者数は600-700人であり、オーストラリアにおける死亡者の半数いることになる)、有効な治療法の開発が切望されている。また、メラノーマ以外の皮膚がんについては世界的にエビデンスが乏しく、血管肉腫や乳房外パジェットに関しては本邦における臨床研究が重要なエビデンスとなっている。今後もJCOG皮膚腫瘍グループに属する施設などが協力することにより、治療薬の評価や開発を短期間に高い精度で行えると信じている。また、日本から世界に向けて皮膚がん治療のエビデンスを発信していければと考えている。

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