演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

頬粘膜扁平上皮癌に対する近年の治療戦略

演題番号 : OS16-4

[筆頭演者]
上田 倫弘:1 
[共同演者]
山下 徹郎:1、林 信:1、高後 友之:1

1:恵佑会札幌病院 歯科口腔外科

 

 頬粘膜癌は、口腔癌全体の約10%程度を占めると言われ、口腔癌の中では比較的症例が少数の疾患である。 ICDによる解剖学的亜部位は、上下口唇の粘膜、頬の粘膜、臼後部、上下頬歯槽溝(口腔前庭)が含まれ、形態は複雑である。また、頬粘膜は前方では口角、外側は皮膚、上下方では顎骨、後方では軟口蓋、咀嚼筋に包囲されているため、進行例では、これら周囲組織への腫瘍進展は比較的容易である。NCCNガイドラインでは頬粘膜扁平上皮癌を含めた口腔扁平上皮癌の治療方針は切除手術を基本としている。進行例では上記の解剖学的複雑性から腫瘍の完全切除は難易度が高く、工夫と技術を要する。さらに、切除後の欠損に対する再建術は機能・形態を考慮し、複雑な形態、機能の回復のため的確な再建組織の選択が迫られ、高度な再建技術が要求される。 今回は、頬粘膜癌治療の要点を確認する目的で、当科で根治的治療を行った頬粘膜一次症例を対象としたretrospectiveな臨床的検討を行った。2000年から2010年に、当科を受診した頬粘膜癌一次症例は73例であった。病理組織学的診断は扁平上皮癌62例、疣贅癌6例、腺様嚢胞癌4例、粘表皮癌1例であった。扁平上皮癌症例62例中、根治的治療を行った51例を検討対象にした。51例の内訳は男性21例、女性30例で、初診時年齢は43才から86才(中央値71才)であった。臨床病期はI期11例、II期19例、III期6例、IVA 期9例、IIVB期6例であった。外科的治療を施行したのは51例中47例(I期:9例、II期:18例、III期:6例、IVA期8例、IIVB期6例)で、他は放射線療法、化学療法症例であった。27例に頸部郭清術を施行し、pNは0:14例、1:5例、2b:8例であった。経過観察期間は127日から4456日(中央値1681日)で、疾患特異的5年累積生存率はI期80%、II期72.4%、III期83.3%、IVA期87.5%、IVB期83.3%、全病期79.1%であった。再建術を要した症例は23例で、有茎皮弁1例、遊離皮弁22例(前腕皮弁10例、腹直筋皮弁5例、肩甲骨複合皮弁2例、前外側大腿皮弁5例)であった。頬粘膜癌は進行癌であっても完全切除により予後は比較的良好であり、形態・機能を重視した再建手術の選択が最も重要と考えられる。切除・再建手術の適応と方法について検討する。

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