演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

ゾレドロン酸を用いた乳癌個別化治療の開発

演題番号 : OS13-7

[筆頭演者]
杉江 知治:1,2 
[共同演者]
Atif SM Idrees:2、湊 長博:3、戸井 雅和:2、田中 義正:3,4,5

1:関西医科大学附属枚方病院 乳腺外科、2:京都大学乳腺外科、3:京都大学免疫細胞生物学、4:次世代免疫制御を目指す創薬医学融合拠点、5:長崎大学創薬研究教育センター

 

【目的】ゾレドロン酸(Zol)を薬物治療に併用することによって乳癌の予後が改善することが知られている。Zolは細胞傷害能を有するγδ型T細胞を活性化するが、われわれは、末梢血中に占めるγδ型T細胞比率が高いほど、末梢血単核球はZolによく反応することを明らかにした(Sugie T, Cancer Immunol Immunother 2013)。他方、Zolは乳癌などの腫瘍細胞に取り込まれると、ファーネシル二リン酸合成酵素(FPPS)を特異的に阻害し、直上流に位置するγδ型T細胞のリガンドであるイソペンテニル二リン酸(IPP)の細胞内濃度が上昇する。本研究ではZolのFPPS阻害作用とγδ型T細胞の活性化を定量的に比較することにより、Zolのもつ免疫細胞生物学的活性の解析を行った。【方法】乳癌細胞を含む73種の腫瘍細胞をZolの希釈系列で処理し、FPPSの下流にあるRap1Aのゲラニルゲラニル化阻害をウエスタンブロッティング法により定量化し、IC50値を得た。次に乳癌患者から調整したγδ型T細胞をZol系列希釈で処理した腫瘍細胞に作用させ、TNF-α産生をELISAで測定し、EC50値を得た。これらIC50値とEC50値を比較し、FPPS阻害とγδ型T細胞活性化との定量的相関関係ならびにZol処理した腫瘍細胞への細胞傷害性について検討した。【結果】腫瘍細胞の多くがIC50値100μM以下であったが、リンパ系腫瘍やミエロイド系腫瘍の半数以上が100μM以上であり、乳癌はそれらの中間に位置していた。また、γδ型T細胞のTNF-α産生は、同様にリンパ系腫瘍やミエロイド系腫瘍で高いEC50値が得られ、乳癌は中間的な値を示した。各腫瘍細胞においてIC50値とEC50値には高い相関性が見られ、ZolによるFPPS阻害とγδ型T細胞の活性化が密接に相関していることが明らかになった。また、γδ型T細胞によるZol処理された腫瘍細胞に対する細胞傷害性もIC50値およびEC50値と相関することが明らかとなった。【結論】IC50値とEC50値との高い相関は、Zolによって腫瘍細胞にγδ型T細胞のリガンドであるIPPが蓄積されていることを間接的に示している。乳癌患者末梢血中のγδ型T細胞比率に、標的である腫瘍細胞のIC50値, EC50値を加えることにより、Zolの抗腫瘍効果を期待できる患者を予測できる可能性があり、新たな乳癌個別化治療法の開発につながるといえる。

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:トランスレーショナルリサーチ

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