演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

前立腺癌に対するワクチン療法

演題番号 : OS12-5

[筆頭演者]
吉村 一宏:1 
[共同演者]
植村 天受:1

1:近畿大学医学部 泌尿器科学教室

 

近年の免疫療法は1970年代の非特異的免疫賦活療法に始まり、種々のサイトカインが同定されるにつれてサイトカイン療法がおこなわれるようになり発展してきている。1991年にはBoonらにより初の癌拒絶抗原のMAGE遺伝子が同定され、その後の分子生物学的、免疫学的手法の進歩により多くの癌抗原が見いだされ癌に対する免疫応答が詳細に明らかにされるようになった。このような展開の中で臨床的には癌抗原を標的とした特異的免疫療法の有用性についての検討が悪性黒色腫を中心に開始され、様々な固形癌に対しても臨床試験がおこなわれている。 泌尿器癌領域では前立腺癌とくに去勢抵抗性前立腺癌(castration resistant prostatic cancer: CRPC)に対する癌ワクチン療法の大規模試験が現在も進行中である。PAP-GMCSF(prostatic acid phosphatase granulocyte-macrophage colony stimulating factor)蛋白の樹状細胞(dendritic cell: DC)ワクチンProvengeやDCVax-Prostateなどが有力なワクチンと考えられ、Provengeは2010年4月米国FDAにより承認されている。 免疫療法のうち世界的に最も多く実施されているものはDCワクチン療法であるが、コストと時間的な問題などがあり実施医療機関が限られているのが現状である。癌細胞ワクチン療法は多数の抗原を含有しているため免疫誘導には適しているが、宿主がどの抗原ペプチドに反応しているのかが判定できないため免疫応答を詳細に解析することが難しい短所がある。また分子標的に対する抗体療法では癌細胞表面に発現しない抗原に対しては効果が期待できないという問題点がある。 われわれの施設では抗原ペプチドの合成が比較的容易で臨床的に免疫応答が得られやすいペプチドワクチン療法をおこなっている。対象は去勢抵抗性前立腺癌患者とし、ペプチドワクチン投与前に患者の血漿抗ペプチド抗体価および末梢血リンパ球のペプチド特異的CTL precursorを測定し反応性の高いペプチドを最大4種まで投与するというテーラーメイド型ペプチドワクチン療法である。使用するペプチドはHLA-A拘束性であり、HLA-A2陽性患者の32種、HLA-A24陽性患者の25種より選定し、2週間毎に計6回投与する方法でペプチドワクチン単独療法・デキサメサゾンとの併用療法について有効性および安全性について検討している。 本シンポジウムではCRPC症例に対するペプチドワクチン療法の現状と今後の展望につて報告する。

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