演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

高リスク症例に対する小線源療法

演題番号 : OS12-3

[筆頭演者]
斉藤 史郎:1 
[共同演者]
矢木 康人:1、西山 徹:1、中村 憲:1、玉城 光由:1、戸矢 和仁:2、萬 篤憲:2

1:国立病院機構東京医療センタ- 泌尿器科、2:国立病院機構東京医療センター 放射線科

 

 ヨウ素125永久挿入密封小線源療法(シード治療)は国内で開始されてから10年が経過する。その間、全国116施設で計27,000例あまりの治療がなされ、限局性前立腺癌の治療選択肢の一つとして確立された。治療開始当初、この治療は低リスク症例だけが対象であると認識されており、治療実施施設の多くは低リスク症例にのみシード治療単独での治療を行っていた。しかし、American Brachytherapy Society (ABS)では中間リスク以上の症例には外照射の併用を行うことが、また、NCCNのガイドラインでは高リスク症例にはシード治療、外照射、ホルモン療法の3者を併用することが推奨され、高リスク症例においてもシード治療は立場を確立している。そしてアメリカの報告でも高リスク症例ではシード治療を中心とした併用療法が他の治療成績を凌ぐとするものが多く見られる。
 当施設ではシード治療開始当初より中間リスクや高リスク症例にも外照射を併用した治療を積極的に行ってきた。この10年間に2,100例のシード治療を経験したが、そのうち5年以上の経過観察(中央値6.6 年)を行った990例(NCCNリスク分類:低リスク332例、中間リスク561例、高リスク97例)の解析を行った。年齢中央値は67歳、診断時PSA中央値は6.7g/ml、全症例での9年全生存率は91.8%、疾患特異的生存率は99.4%、PSA非再発率は92.4%であった。リスク分類別でのPSA非再発率は低リスクが98.0%、中間リスクが89.2%、高リスクが76.7%であり、高リスクにおいても良好な成績が示されている。
 当施設での高リスク症例に対する治療プロトコールは、シード治療での処方線量を110Gy、その1.5ヶ月後より外照射1.8GyX25回=45Gyを追加し、外照射の照射野は前立腺全域と精嚢の中枢側半分としている。ホルモン療法は前立腺体積を縮小させる場合や、待機期間中に病状の悪化を懸念した場合にのみ実施されたが、シード治療後は行われていない。最近は多施設共同研究(TRIP)のプロトコールに従い、高リスク症例では治療前から外照射が終了するまでの6ヶ月間にホルモン療法(MAB)を実施している。
 シード治療と外照射の併用においては生物学的効果線量(BED)が高くなり、強い抗癌作用が期待される。また、照射野が少し広くなり、微小な浸潤病巣にも効果があるものと考える。高リスク症例において、シード治療が全摘術よりも再発率が低いとするなら、照射野が手術による摘出範囲よりも広く設定できるためかと考察する。

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