演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

前立腺癌に対するFocal Therapy

演題番号 : OS12-2

[筆頭演者]
鴨井 和実:1 
[共同演者]
沖原 宏治:1、河内 明宏:1、三木 恒治:1

1:京都府立医科大学大学院 泌尿器外科学

 

 泌尿器科における癌治療は、主に転移性癌に対する全身治療すなわち抗癌剤を用いた化学療法、分子標的治療、免疫療法、そして前立腺癌に対する内分泌治療などが挙げられる。局所浸潤癌に対しては臓器摘出術や放射線外照射などが用いられ、さらに、限局癌に対しては臓器を温存し、癌の部位のみを治療する局所療法がある。例えば部分切除術などの外科治療や、ラジオ波、凍結凝固、レーザーなどを用いた焼灼術が用いられることがある。全身治療から臓器標的治療さらに局所療法と治療範囲が絞られるとともに、その副次作用ともいえる有害事象の範囲も狭くなる。この点で限局癌に対する局所療法の必要性があると考えられている。 癌局所療法の目的は、臓器全体ではなく、癌の部分だけを治療することによって、標的臓器の健康的な部分を可能な限り温存し、癌の制御を行うということである。前立腺においても近年局所療法の有用性が提唱されている。特に前立腺全摘除術や放射線外照射などによる有害事象を軽減させるため、症例を選んで前立腺全体の治療ではなく局所的な焼灼術が用いられるようになってきている。しかし、前立腺癌に対する局所療法の解決しなければならない問題点として、どのような症例が適応で、どのようにして見つけ出すか、どのようなエネルギー・ソースで前立腺癌病巣を焼灼するべきか、どのような治療効果が予想され、どのようにして経過観察を行うべきか、などが挙げられる。一つの解決方法として用いられているのが、multiparametric MRIで単一病巣を有する症例を抽出し、テンプレート生検で病巣の範囲を確定したうえで高密度焦点超音波治療を限局的に行うという試みがある。Ahmedらの報告(Lancet Oncol 2012, 13: 622-32)によると、良好な癌コントロールに加えて、術後早期の尿禁制や性機能の改善が得られたという。また、我々の施設では3T-multiparametric MRIの使用により、効率的にsignificant cancerを検出し、MRI-US fusion targeted biopsyを行うことによって、局所療法適応症例が選択できる可能性が示唆されている。実際に、前立腺外照射後再発症例に対する3D-cancer mappingを用いたsalvage focal  brachytherapyの試みも開始されている。 現在、前立腺癌に対する低侵襲かつ機能を温存した局所療法の確立が望まれており、数多くの臨床試験を通じて、エビデンスレベルの高い治療体系の構築が必要とされている。

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