演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

「化学療法を受けながら進行・再発するがん患者の症状マネジメント」-化学療法と緩和ケアの融合をめざして-

演題番号 : OS1-3

[筆頭演者]
大串 祐美子:1 

1:医療法人東札幌病院 看護部

 

 2010年、ASCOにてTemelらは「転移を有する進行肺癌の患者が診断時から緩和ケアに関わることでQOL、精神状態、さらには生存期間も改善する。積極的ながん治療と緩和ケアは並行されることが望ましい。」と報告した。その後2012年、我が国でもがん対策基本計画5年目の中間報告において「がん治療早期からの緩和ケアの重要性」が強調され全国各地の施設において緩和ケアチームの活動成果が報告されている。

近年、切除不能または再発期にあるがん患者への化学療法がさかんに行なわれるようになった。中でも大腸がん患者の生存期間は確実に延長しQOLが改善している。また、遠隔転移を生じて再発した乳がん患者も疼痛、呼吸困難、皮膚浸潤による苦痛症状が緩和されQOLの改善を得ている。化学療法を安全に実施し副作用症状への看護を実践しながら、がんの進行による症状への看護も同時に実践できるのである。しかしこのような成功体験を持つ施設がある一方で未だ‘緩和ケアは終末期に行われるもの’という意識を持つ医療者は多い。

 東札幌病院(243床。内、緩和ケア病棟58床。以下当院)は、ホスピス・緩和ケアの実践に取り組み始めて30年が経過した。2009年にはがん専門病院の認可をうけて緩和ケアを基盤にしたがん治療の充実を図っている。全病棟に進行再発がん患者が入退院しており、がん治療と緩和ケアを両輪にして、化学療法と緩和ケアを融合させた医療とケアの実践に努力している。現在、症状緩和に難渋する進行再発がん患者の紹介数は急増している。例えば、進行がん患者の苦痛解決にむけて緩和ケアチームの介入を検討したが、患者が終末期への移行と受け止めてしまうからと紹介せず、苦痛症状を抱え混乱や衰弱した状態で転院してくる事例や、化学療法中の患者に疼痛や呼吸困難などの苦痛症状が出現しても積極的に症状緩和を図らず、化学療法継続可能な時期でも緩和ケア病棟に紹介される事例などがある。進行再発がん患者の身体的、精神的苦痛への対応が遅れを回避するために、 ‘緩和ケアイコール終末期’という医療者自身の意識改革が求められている。

今回のシンポジウムでは、当院において治療を受けながらがんの進行、再発した患者への症状マネジメントの実際を紹介する。そして私たちが、進行再発がん患者と向き合い、化学療法と緩和ケアとを実践するためには、どうしたら良いかについてディスカッションしたい。

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