演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

がん化学療法における看護への期待

演題番号 : OS1-1

[筆頭演者]
田村 研治:1 

1:国立がん研究セ・中央病院 乳腺・腫瘍内科

 

 がん化学療法はますます複雑になり、専門的な知識と経験が求められるようになってきている。実際、専門資格をもつ医療関係者も増えている。又、拠点病院においては、治験も多く行われるため、CRCなどの特殊職種との連携も増えてきている。一方、がん化学療法は、根治を目的としたもの(術前・術後補助療法、根治が望める悪性疾患に対する)と、延命を目的にした緩和的治療(palliative chemotherapy)に分けられ、後者の予後もがん種によって大きく異なる。 がん化学療法実施面に関する看護への期待は、それぞれの抗悪性腫瘍薬の特徴をよく理解し、副作用管理、投与管理を着実に行うことであろう。効率的な運用のためには看護マニュアルも必要である。ただ、がん化学療法看護全体にとって大切なことは、単にマニュアルどおりに実務をこなすだけでなく、作成された背景や根拠をよく理解し、目の前の個々のがん患者に対して妥当であるのか、病状(予後)、合併症、年齢、社会的背景、精神的・肉体的苦痛に照らし考えてみることである。 がん化学療法の進歩は、根治が望めない患者にも長期間の延命を可能とする。高齢者がんが増加する一方、就労期にあるがん患者が、自分の仕事や生活とがん化学療法の両立を目指す問題もクローズアップされている。医療関係者は、自己の限られた経験と知識の中だけでものごとを判断するべきではない。化学療法に対し、極端に楽観的なることも、逆に悲観的になることも望ましくない。その気持ちは個々の患者の治療決定にも大きな影響を与える。客観的、科学的に物事を判断するには最新の医学知識を常に得ることが必要であるし、又、個々のがん患者の心理的・社会的・肉体的な苦痛を理解しようと思えば、コミュニケーション能力が求められる。がん化学療法におけるプロフェッショナルな看護には、その両方のバランスが保たれていることが必要と思われる。 又、がん化学療法には「チーム医療」が必要であり、医師、看護師、薬剤師それぞれの部署の考え方、常識だけでなく、がん患者を取り囲み、共通の相容れる理念の中で他職種とコミュニケーションをとりながら実践する必要がある。 私自身は、「がん薬物療法専門医」として、多領域の臓器にわたるがん患者の診療を行い、治験・臨床試験にも多く携わってきた。その立場から、僭越ながら、がん化学療法における看護への期待について述べたい。

前へ戻る