演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

当院における胃癌術前化学療法の検討

演題番号 : O96-1

[筆頭演者]
加納 正人:1 
[共同演者]
矢内 勢司:1、橘 強:1、中右 雅之:1、洲崎 聡:1、光吉 明:1、柳橋 健:1

1:大津市民病院 外科

 

大型の腫瘍径や高度のリンパ節転移を伴う胃癌症例は、肉眼的な治癒切除を行ってもその予後は不良である。これまで、術後補助化学療法により予後改善の努力が払われてきたが、近年化学療法の進歩による奏効率の改善などから進行症例に対して術前化学療法を行い治療成績を改善する試みがなされている。当科では2009年4月より症例を選び、これらの進行症例に対して術前化学療法を行ってきた。術前化学療法の効果を評価するための検討を行った。【対象】2009年4月より2013年1月の間に進行胃癌に対して術前化学療法を施行し根治手術を施行した15例(術前化学療法群)に対し、術前化学療法導入直前3年間(2006年1月から2008年12月)の同様な進行胃癌31例を対照とした(対照群)。【方法】術前化学療法群では、性別、最大径、壁深達度、リンパ節転移度、進行度、組織型について無再発生存期間(以下PFS)と全生存期間(以下OS)をKaplan-Meier法で検討し、ロングランク検定を行った。有意水準は5%で判定した。【結果】それぞれの群において、性別、年齢、腫瘍サイズ、壁深達度、リンパ節転移度、進行度、組織型、術後補助化学療法の有無については有意な差は認めず、術前化学療法群において有意に胃全摘術が多かった。術前化学療法のレジメンは、S-1/CDDPが11例、S-1/docetaxelが2例、S-1/paclitaxelが1例、CPT-11/CDDPが1例であった。術前化学療法群の中では、上記因子のうち組織型で高分化型(pap, tub)が観察期間中央値679.5日でPFSの中央値に達していないのに対して、低分化型(por, sig, muc, EC)のPFS中央値は269日と有意に短縮していた。OSでは有意差はつかなかったが(P=0.062)、同様な傾向が見られた。術前化学療法群と対照群の比較では、全体ではPFS、OSともに有意な差は見られなかった。しかし、組織分化度別の比較では、高分化型で術前化学療法群がPFSに良好な傾向が見られる一方、低分化型では、むしろ対照群の783日に対して術前化学療法群で有意に短縮しOSも生存曲線上短縮する傾向が見られた。【考察】今回の検討は、historical controlを対照としたretrospevtiveな解析であるが、高分化型の症例で有効な傾向が見られた一方で低分化型ではむしろ有害な傾向が示唆された。この結果を踏まえ、当科においては低分化型の症例に対しての術前化学療法には慎重にならざるをえない。JCOG0501試験などの今後の解析が待たれる。

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:化学療法

前へ戻る