演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

がん分子標的治療における患者の経済的負担

演題番号 : O84-4

[筆頭演者]
濃沼 信夫:1 

1:東北薬科大

 

目的 がん医療は急速な技術進歩に伴って高額化しており、経済的理由で患者が必要な医療を受けられない事態を回避する対策が求められている。分子標的治療における患者負担の実態を明らかにし、その対応策を検討する。
方法 大学病院、がんセンターなど全国42施設で、がん患者を対象に調査を実施した。
結果 固形腫瘍患者(n=2,114、平均年齢62歳)の平均自己負担額(窓口負担+間接費用、年間)は、分子標的治療は122万円、それ以外の薬物治療は66万円である。民間保険の給付、高額療養費の償還などを差し引いた実質の負担は、各57万円、21万円である。造血系腫瘍(n=546、61歳)では、分子標的治療で116万円、それ以外で85万円である。外来の自己負担は、固形腫瘍では分子標的治療で75万円、それ以外で24万円、造血系腫瘍では各67万円、15万円である。薬剤別では、リツキシマブ投与の患者(n=131)で100万円、トラスツズマブ(n=158)で110万円、ゲフィチニブ(n=45)で115万円、イマチニブ(n=135)で120万円、ベバシズマブ(n=70)で165万円、スニチ二ブ(n=21)で168万円などである。ベバシズマブ治療の自己負担の内訳をみると、直接費用は、入院42万円(該当患者の割合73%)、外来101万円(90%)などである。間接費用は、健康食品・民間療法45万円(41%)、民間保険料21万円(75%)などである。償還・給付額は平均103万円で、内訳は民間保険給付金111万円(55%)、高額療養費70万円(56%)、医療費還付8万円(30%)である。
医療費の支払いは、分子標的治療患者の6割が預貯金の取り崩しによっている。分子標的治療の経済的負担について十分な説明を受けたとする患者は、固形腫瘍で36%、造血系腫瘍で47%にとどまる。経済的負担に関する改善の要望(複数回答)で多いのは、抗がん剤を安く(58%)、がん医療の自己負担割合を他の病気より軽く(52%)、高額療養費制度の自己負担限度額を引き下げる(48%)などである。
結論 分子標的治療を受ける患者の自己負担額は、償還・給付額を差し引いても相当に重いことが明らかになった。高額化が避けられない技術進歩をあまねく患者に届けるには、高額療養費制度の拡充など、経済的負担を最小化することが欠かせない。

キーワード

臓器別:その他

手法別:分子標的治療

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