演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

福島復興へ向けたリスクコミュニケーションの現状と課題

演題番号 : O84-3

[筆頭演者]
中川 恵一:1 
[共同演者]
黒田 佑次郎:2、作美 明:1、坂田 尚子:2、高村 昇:3、伴 信彦:4、宮崎 真:5、水島 希:6、佐倉 統:6

1:東京大学医学部附属病院放射線科、2:東京大学医学部附属病院緩和ケア診療部、3:長崎大学大学院医歯薬学総合研究科、4:東京医療保健大学東が丘看護学部、5:福島県立医科大学放射線健康管理学講座、6:東京大学大学院情報学環

 

【背景】報告者らは、福島第一原子力発電所事故直後から、福島県飯舘村を中心に、環境放射線量の測定や住民との対話を行ってきた。これまでに得られた測定や調査の結果から、福島県民の被ばく量、特に内部被ばく量は当初危惧されたようなレベルではないことが明らかになっている。しかし放射線防護はALARA(As Low As Reasonably Achievable)原則に則り、「直線しきい値なしモデル」が採用されていることもあり、低線量被ばくの問題は住民に大きな心理的影響を与えている。また、放射線被ばく以外の経済的、社会的諸要因も住民の意思決定に大きく関与していると思われる。【目的】放射線被ばくについて、被災地の住民がどのような不安を抱いているか、また専門家が放射線に関する情報提供をする上での問題点を整理し、放射線リスクコミュニケーションを行う上でどのような指針が必要かを検討することを目的とした。【結果】過去に行った放射線リスクコミュニケーションにおいて、得られた質問事項と聞き取りの内容を分析した。その結果、主要な質問や発言の内容は、「放射線量の基準値への不信感」「福島県産の食品の安全性」「子どもへの影響の懸念」「帰村後の生活に対する不安感」「除染の効果に対する不信感」「避難先での生活の困難」等、避難先での生活に直接関連づけられた多様な疑問、不安、不信感、そして懸念が示された。【考察】放射線リスクコミュニケーションで表明された疑問や不安事項は多岐に渡り、放射線の影響に特化したコミュニケーションには限界があり、幅広い分野の専門家が関与する必要性があるだろう。今後は、被災地でリスクコミュニケーションを行ってきた知見や問題点を集積し、さらにリスク認知やコミュニケーション論の知見を取り入れた放射線リスクコミュニケーションのマニュアルの開発が必要と考えられる。

キーワード

臓器別:その他

手法別:QOL

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