演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

がん患者の訪問診療導入に向けて、病院が取り組むべき事とは

演題番号 : O84-2

[筆頭演者]
小玉 かおり:1 
[共同演者]
中野 詩朗:1

1:旭川厚生病院 がん相談支援センター・外科

 

【背景と目的】在宅医療は「在宅死」が目的ではなく「最期まで自分らしく生きる」ことを支援するために導入される。特にがん末期患者を支えるには、自宅で緩和医療を受けられる訪問診療が重要な存在となるが、全てのがん末期患者に訪問診療が導入されているわけではない。今回当院におけるがん患者に対する訪問診療導入の状況を調べ、病院で取り組むべきことについて検討した。【調査方法】2011年4月から2012年3月の1年間に当院の退院調整部門が関わり自宅退院した旭川市に居住するがん患者で退院後365日以内に死亡した患者について、「訪問診療の有無」、「死亡した場所」及び「死亡までの期間」について調査した。【結果】115人のがん患者の自宅退院支援を行っており、旭川市に居住する患者は90人だった。このうち退院後365日以内に死亡していたのは64人(71%)で、訪問診療導入群は38人(59%)、非導入群は26人(41%)だった。 死亡した場所は、導入群では21人(55%)が在宅死だった一方、非導入群は全員が病院で最期を迎えていた。退院から死亡するまで期間は、導入群では中央値58.5(最少2日‐最大352日)、標準偏差99、非導入群では中央値56.5(最少5日‐最大223日)、標準偏差62だった。導入群と非導入群の死亡までの期間に差はなかった。【考察】在宅死を前提としていない中で、訪問診療導入群の半数以上が在宅で最期を迎えていたことは大きなインパクトがあった。一方で、訪問診療を導入しなければ在宅死の選択肢は「ゼロ」になるという事実を私達は十分に認識しておくべきだと感じた。死亡するまでの期間は差がなかったが、裏を返せば非導入群の患者は在宅療養中の症状コントロールやどこで最期を迎えるかの選択において導入群と差があった可能性がある。患者の状況は刻々と変化を続けていたと思われ、患者が死亡するまでの間に訪問診療の導入について患者家族と共に再検討する機会をつくっていたかが問われる。【結語】病院が取り組むべき事は、訪問診療非導入の要因について明らかにすること、何らかの要因で訪問診療の導入に至らなかった場合も、その後考えが変化していく可能性があるためアプローチを続けていくことだと考えた。主治医、緩和ケア科、外来看護師、がん相談支援センター等が連携して退院後の患者をモニタリングし、訪問診療導入について患者家族と再検討する機会をつくっていく必要がある。

キーワード

臓器別:その他

手法別:地域連携

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