演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

膵癌術後薬物療法におけるhENT-1発現と予後との関連

演題番号 : O82-3

[筆頭演者]
柴田 伸弘:1 
[共同演者]
千々岩 一男:1、頼田 顕辞:2、角 将一:3、大内田 次郎:1、旭吉 雅秀:1、今村 直哉:1、安藤 稔:3、畑 千恵:3、片岡 寛章:2

1:宮崎大学医学部外科学講座腫瘍機能制御外科学分野、2:宮崎大学医学部病理学講座腫瘍・再生 病態学分野、3:株式会社ヤクルト本社中央研究所安全性研究部

 

【背景】膵癌組織におけるhENT-1 (Human Equilibrative Nucleoside Transporter 1)の発現により,Gemcitabine(以下GEM)による治療が効果的なpopulationの存在が示唆されている.
【方法】2002年6月から2009年2011年8月の期間に宮崎大学附属病院第一外科でR0,R1の膵切除術を施行された膵癌患者のうち,術後にGEM-Baseの補助化学療法を施行され,かつパラフィン包埋された腫瘍組織が入手可能であった41例を解析対象とした.hENT-1に対するモノクローナル抗体を用いて免疫組織化学染色(IHC)を行い,独立した2名の評価者が腫瘍組織の染色面積割合を測定した.この染色面積と無病生存期間(DFS),全生存期間(OS) との関連をRetrospectiveに検討した.ROC曲線を用いてカットオフを設定し,染色面積>20%をHigh-hENT1群,染色面積≦20%をLow-hENT1群とし,DFS, OSについて検討を行った.統計学的解析はPearsonのカイ二乗検定あるいはFisherの正確確率検定を,多変量解析はCox比例ハザードモデルを用いて行った.生存曲線はKaplan-Meier法を用い,log-rank testで検定を行いp<0.05を有意とした.
【結果】観察期間中央値30.2ヶ月の時点でのDFSの中央値はLow-hENT1群(N=16)で12.2ヶ月,High-hENT1群(N=25)で67.3ヶ月であり(p=0.0187),OSの中央値はLow-hENT1群で33.8ヶ月,High-hENT1群は中央値に達せず(p=0.0003),いずれもHigh-hENT1群で有意に良好であった.これら二群間の臨床病理学的背景因子には統計学的な差を認めなかった.DFS, OSについて多変量解析を行ったところ,いずれもhENT1染色面積のみがGEM術後補助療法の独立した効果予測因子として抽出された.
【結論】GEMによる膵癌術術後補助療法施行例の検討では,腫瘍組織のIHC評価によるhENT1高発現群においてDFS, OSの有意な延長を認めた.
【考察】IHC評価によるhENT1高発現の膵癌症例においてはGEMにより良好な予後が期待でき,GEMを選択すべきである可能性が示唆された.膵癌術後補助療法はJASPAC-01の結果によりS-1が標準治療となったが,hENT1の発現の程度によりGEMとS-1を比較する前向き試験も必要と考える.

キーワード

臓器別:膵臓

手法別:バイオマーカー

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