演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

腹腔洗浄液浮遊細胞の遺伝子発現解析による膵癌腹膜播種再発予測

演題番号 : O82-2

[筆頭演者]
佐藤 圭:1 
[共同演者]
森 隆太郎:1、松山 隆生:1、谷口 浩一:1、廣島 幸彦:1、中川 和也:1、熊本 宜文:1、野尻 和典:1、武田 和永:1、田中 邦哉:1、遠藤 格:1

1:横浜市立大学医学部 消化器・腫瘍外科

 

【背景】膵癌に対する術中腹腔洗浄細胞診の予後予測因子としての意義は未だ明らかではない。そこで、術中腹腔洗浄液中の浮遊細胞における各種癌関連遺伝子の遺伝子発現解析による腹膜播種再発予測の可能性について明らかにする。【対象・方法】教室で2011年9月から2013年1月に、術中腹腔洗浄細胞診を施行した通常型膵癌38例と、良性群として、IPMA1例、PNET2例を対象とし、学内倫理委員会の承認を得て行なった(承認番号B111110029)。審査腹腔鏡手術では、両側横隔膜下、骨盤底を生理食塩水100mlで洗浄し、各部位から50mlずつ回収後、25mlを細胞診に使用し、残り25mlで定量的RT-PCRを施行した。開腹症例では、開腹時に腹腔内を洗浄し、骨盤底から洗浄液を回収した。遺伝子発現解析にはCEA関連接着因子遺伝子であるCEACAM5と、膵癌に高発現するとされるKRAS、Krt7、MUC1の4遺伝子を選択した。1.膵癌症例と良性群での遺伝子発現を比較し、2.膵癌症例における各遺伝子発現の相関をみた。さらに、3.膵癌症例を腹膜播種再発群(P群)と非腹膜播種再発群(N群)にわけ、細胞診、各遺伝子発現を比較検討した。【結果】1.膵癌症例と良性群での各遺伝子発現は、CEACAM5:64.4±209.5 vs 0.07±0.12(p=0.601)、KRAS:6.6±9.0 vs 2.8±2.2(p=0.478)、Krt7:4.5±7.9 vs 5.1±5.9(p=0.897)、MUC1:2.8±7.2 vs 1.0±1.1(p=0.674)で有意差はないものの、CEACAM5、KRAS、MUC1の3遺伝子は膵癌で高値を示した。2.膵癌症例における各遺伝子発現レベルの関連は、CEACAM5とKrt7(p<0.001)、CEACAM5とMUC1(p<0.001)、Krt7とMUC1(p<0.001)間で相関を認めた。3.膵癌症例の術後平均観察期間は9.6か月で、術後早期に他病死した2例を除いた計36例について検討した。腹膜播種再発もしくは転移は11例(30.5%)に認め、細胞診陽性はP群1/11例(9.1%)、N群1/25例(4%)(p<0.001)とP群で有意に多かった。各遺伝子発現はCEACAM5(P vs N:10.5±17.7 vs 0.5±2.1 p=0.008)がP群で有意に高発現であったが、KRAS(p=0.349)、Krt7(p=0.823)、MUC1(p=0.618)は両群間で有意差を認めなかった。【結語】術中腹腔洗浄細胞診は腹膜播種再発および転移予測に有用であるが感度が低い。腹水浮遊細胞中CEACAM5遺伝子発現高値が腹膜播種再発の予測により有用である可能性が示唆された。

キーワード

臓器別:膵臓

手法別:診断

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