演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

胆道癌に対するlow dose Paclitaxel療法の基礎的検討と臨床的有用性

演題番号 : O81-3

[筆頭演者]
田島 秀浩:1 
[共同演者]
真橋 宏幸:1、廣瀬 淳史:1、渡邉 利史:1、岡本 浩一:1、中沼 伸一:1、正司 政寿:1、牧野 勇:1、林 泰寛:1、尾山 勝信:1、中川原 寿俊:1、宮下 知治:1、高村 博之:1、北川 裕久:1、太田 哲生:1

1:金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科

 

はじめに:近年、ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬、アンギオテンシン受容体阻害剤やタキサン系抗癌剤の少量投与が癌細胞の上皮間葉転換 (EMT: Epithelial to mesenchymal transition) を抑制することが注目されているが、これらの薬剤は組織の線維化も抑制することが知られている。これらの薬剤は肝星細胞の活性化を抑制することで肝の線維化を抑制する効果に加えて様々な抗癌治療により誘発される腫瘍のEMTを抑制することで転移や再発を抑制する効果を併せ持つ可能性がある。今回、胆管癌細胞株および肝星細胞株を用いて、タキサン系薬剤であるPaclitaxel (PTX)の与える影響について実験的に検討した。対象と方法:胆管癌細胞株(CCKS-1)および肝星細胞株(Li-90)を用いてTGF-βを作用させることで誘導される癌細胞のEMTおよび星細胞の活性化がPaclitaxel (PTX)により抑制可能であるかを検討した。EMTの検討として上皮系マーカーであるE-cadherin、間葉系マーカーであるN-cadherin、vimentinの発現を、星細胞活性化のマーカーとしてαSMA、1型コラーゲンの発現を検討した。結果:TGF-βを作用させるとCCKS-1細胞においてE-cadherin の発現が減弱してN-cadherin、vimentinの発現が増強し、EMTが確認された。これに対して、2.5~5 nMのPTXを作用させると、N-cadherin、vimentinの発現が減弱し、E-cadherin の発現が増強した。また、Li-90にTGF-βを作用させると、αSMA、1型コラーゲンの発現が増加して活性化が確認されたが、1~5 nMのPTXを作用させると発現が減弱した。この機序としてはSmad 2,3蛋白のリン酸化抑制が関与している可能性が示唆された。まとめ:以上より、low dose PTX療法は胆道癌に対して癌細胞のEMTと組織の線維化を抑制する可能性があると考えられた。現在、Gemcitabineおよび5-FU系薬剤の無効化した胆道癌症例に対するlow dose PTX療法の臨床試験を開始して症例を集積中である。

キーワード

臓器別:胆嚢・胆道

手法別:基礎腫瘍学

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