演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

Gemcitabine耐性ヒト膵癌株に対するMetforminの抗腫瘍効果の検討

演題番号 : O81-2

[筆頭演者]
鈴木 慶一:1 
[共同演者]
竹内 修:2、金田 宗久:1、大作 昌義:1、浅沼 史樹:1、山田 好則:1

1:北里研究所病院 外科、2:北里研究所病院 バイオメディカルラボ

 

2型糖尿病に対する第一選択薬であるMetformin(Met)は、最近大規模なコホート研究で抗腫瘍効果が認められることが明らかにされた.一方膵臓癌の第1選択薬にはGemcitabine(Gem)を用いるが、Gemに対する治療抵抗性膵癌が現在臨床上問題になっている.このようなGem耐性膵癌に対してMetが抗腫瘍効果を示すかは,今後の膵癌治療成績向上において重要な観点となり得る.今回我々はヒト膵癌株BxPC-3とその派生Gem耐性株BxG30を用いて Met の抗腫瘍効果を検討し,標準治療薬であるgemcitabine(GEM)との相乗効果を評価した.wild typeのBxPc-3を用い,Metの抗腫瘍効果を確認した.7週齢の雌ヌードマウスの背側皮下に腫瘍細胞を打ち込み,2週間後より治療を開始した.マウスはA) Control,B) GEM ,C) MET , D) GEM+METの4群とした.Gemは100mg/kgでDay15から週1回・計4回腹腔内投与,Metは600 mg/kgをDay15~42まで連日経口投与とした.経時的に体重・推定腫瘍容量を計測,4週目にsacrificeし腫瘍重量を測定した.結果は最終腫瘍重量がCon.群:0.59±0.05(g; mean±SEM),GEM群:0.32±0.07,MET群:0.42±0.08,G+M群:0.23±0.06であり,Gem使用の2群ではCon.群と比べ優位差(p<0.05)をもって重量低下を認めたが,Met単独では抗腫瘍効果を認めなかった.相対腫瘍重量比(T/C%)はGEM群:55.6%,MET群:88.7%,G+M群:48.8%であり,唯一併用群のみ50%未満であり,有効と判定された.体重推移は各群間に差はなく,その他の有害事象も認めなかった.次に中等度耐性株BxG30を用いたMetの抗腫瘍効果を評価した.群分けは上記モデルと同様とし,投与法も同様である.結果は最終腫瘍重量がCon.群:0.26±0.05,GEM群:0.21±0.05,MET群:0.15±0.06,G+M群:0.11±0.03であり,併用群は優位差をもって重量抑制を示した(p<0.05).T/C%はGEM群:80.2%,MET群:54.0%,G+M群:47.2%であり,GEM耐性株では確かにGEMの抗腫瘍効果は乏しかった.MET群でも良好な抗腫瘍効果を示したが,併用群のみでT/C%<50%であり,GEM耐性株でも併用療法の抗腫瘍効果が認められた.以上の結果からMet単独の抗腫瘍効果は限定的と思われた.しかしGemと併用することによって良好な抗腫瘍効果を示すことができ,これはGem耐性株においても同様に認められた.本実験は臨床上意義深いものであり,Metの抗腫瘍剤としての役割の可能性を示したと思われた.

キーワード

臓器別:膵臓

手法別:基礎腫瘍学

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