演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

膵癌における免疫化学療法の可能性

演題番号 : O81-1

[筆頭演者]
宮下 知治:1 
[共同演者]
田島 秀浩:1、中沼 伸一:1、岡本 浩一:1、酒井 清祥:1、牧野 勇:1、林 泰寛:1、中川原 寿俊:1、高村 博之:1、北川 裕久:1、藤村 隆:1、太田 哲生:1

1:金沢大学附属病院 消化器乳腺移植再生外科

 

【目的】近年、膵癌に対する集学的治療の一つとして免疫細胞療法が行われ、一定の成績は得られているもの未だ満足できる成績ではない。その要因として自然免疫担当細胞の活性化受容体のリガンドである癌細胞膜上のMICA発現の減少および血中での可溶性MICAの出現による免疫逃避が報告されている。最近、gemcitabine(GEM)には殺細胞効果以外に腫瘍上のMICAの発現を増加させることが報告されている。今回、化学療法による自然免疫の誘導に着目し、膵癌の術前化学療法症例でのMICAの発現、CD16(γδT細胞、NK細胞など)およびMICAの受容体であるNKG2Dの陽性リンパ球の集積を検討した。
【対象および方法】膵癌切除症例24例(術前化学療法施行群(S-1+GEM):13例、非施行群:11例)の標本を用いて腫瘍のMICA、CD16およびNKG2D陽性リンパ球の発現を検討した。拡大視野にて30%以上の発現を陽性、未満を陰性と判断した。
【結果】免疫染色にて腫瘍周囲にCD16、NKG2D陽性リンパ球および腫瘍の細胞質、細胞膜上でのMICAの発現が認められた。MICA陽性例は術前化学療法施行群13例中11例(85%)、非施行群11例中4例(36%)で、術前化学療法施行群では非施行群に比べてMICAが有意に高率に発現していた(p=0.03)。またCD16は施行群13例中9例(69%)、非施行群11例中3例(27%)で施行群では非施行群に比べてCD16の発現率が高かったが有意差には至らなかった(p=0.09)。一方、NKG2Dは施行群13例中10例(77%)、非施行群11例中3例(27%)で施行群ではNKG2D陽性細胞が有意に集積していた(p=0.04)。
【結語】GEMを用いた膵癌化学療法は腫瘍のMICAの発現を誘導し、免疫逃避機構を解除する一翼を担う可能性が示唆された。

キーワード

臓器別:膵臓

手法別:免疫療法

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