演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

乳房温存療法後の乳房内再発と乳癌家族歴の関係

演題番号 : O8-5

[筆頭演者]
大住 省三:1,2 
[共同演者]
清藤 佐知子:1,2、高橋 三奈:1,2、原 文堅:1、高嶋 成輝:1、青儀 健二郎:1,2、金子 景香:2

1:国立病院機構四国がんセンター 乳腺科、2:国立病院機構四国がんセンター 家族性腫瘍相談室

 

背景:遺伝性乳がん・卵巣がん(HBOC)症例では、乳房温存療法後の乳房内再発率が通常の乳癌症例に比して高いことが示されている。HBOCか否かはBRCA1,2の遺伝検査で病的変異を認めなければ確定はできない。しかし、術前にこれらの遺伝子検査を行うことは、現実的にはかなり困難である。一方、HBOCを強く疑う臨床所見として、若年発症と濃厚な家族歴がある。発症年齢と家族歴から高い乳房内再発率を予測できるかどうかを検討した。対象と方法:2001年1月より2010年12月の間に当院で初回手術を受けた女性乳癌症例のうち、手術時年齢が50歳以下で乳房温存術を受けており、手術時に家族歴の聴取ができていた症例364例を対象とした。手術日よりの時間を計算し、手術した側の乳房内での再発をイベントとした。乳房内再発率をKaplan-Meier法で計算し、2群間の乳房内再発率の差はLogrank検定で調べた。結果:対象症例の年齢は23‐50歳(中央値44歳)、観察期間は4‐136ヶ月(中央値46ヶ月)。ほぼ全例放射線治療を受けていた。乳房内再発は9例(2.3%)に認められた。4年乳房内再発率は1.2%。背景因子別に乳房内再発率を検討したところ、手術時年齢、組織学的リンパ節転移、組織学的断端、ホルモンレセプター、補助化学療法では統計学的有意差を認めなかった。しかし、第1度あるいは第2度近親者に乳癌患者いる場合(73例)、そうでない場合に比して有意に乳房内再発率が高かった(4年乳房内再発率 4.4% vs 0.4%, P=0.041)。さらに、第1度近親者に乳癌患者がいる場合(32例)、そうでない場合に比して有意に乳房内再発率が高かった(4年乳房内再発率 6.4% vs 0.6%, P=0.002)。考察:海外の同様の研究では遺伝子検査の結果ではなく、家族歴の有無で見た場合乳房内再発率に差を認めない研究が多い。今回、乳癌が若年発症することがHBOCの特徴の一つであるため、対象患者の年齢を50歳以下に限定した。通常乳房内再発の危険因子とされているものに有意差を認めなかったのは、今回の研究での対象症例数が少なかったのと、全体での乳房内再発率が極めて低かったからと思われた。結語:若年乳癌患者では家族歴が乳房内再発の危険因子であることが示唆された。

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:手術療法

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