一般演題(口演)
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血小板減少と高LDH血症による多発性骨髄腫の予後解析 演題番号 : O77-1
1:東京慈恵会医科大学 腫瘍・血液内科、2:東京慈恵会医科大学附属病院 中央検査部
<緒言>多発性骨髄腫の予後因子として染色体異常が報告されているが、FISH法による染色体検査は本邦における保険診療での実施が困難である。ISS分類は簡便であるが、腎障害、アミロイドーシスなどによる交絡が問題となる。そこで今回はより簡便で精度の高い予後因子として血小板数と血清LDH値による予後分類を検討した。<方法>2005年1月から2013年3月までに当院で多発性骨髄腫と診断された62名の患者について、診断時の血小板数と血清LDH値がもたらす予後について後方視的に検討した。血小板減少と高血清LDH値のカットオフ値は当院施設基準を用いた。すなわち、血小板数は150,000/μL、血清LDH値は235U/Lをカットオフ値とした。生存期間に対する単変量解析、多変量解析は、それぞれKaplanーMeier法、COX回帰モデルを用いて解析した。<結果>年齢の中央値は64.0歳であった。経過観察期間中央値が20.2ヶ月の時点で、全患者における生存期間中央値は42.4ヶ月であった。血小板減少と高LDH値を2つ満たす群を高リスク群(n=17)、1つを満たす、もしくは1つも満たさない群を低リスク群(n=45)と定義した。患者背景として、年齢が66歳以上、性別、ISS分類3期、貧血、新規薬剤による治療歴、に高リスク群と低リスク群で有為差を認めなかった。生存期間中央値は高リスク群において28.9ヶ月、低リスク群において未到達であり、有意に低リスク群で優れていた(p=.003)。本研究の高リスク群は、貧血、ISS分類3期を含めた生存期間に対する多変量解析によると、高リスク群は独立した予後不良因子であった(HR:1.902,p=.015)。<結論>多発性骨髄腫における診断時の血小板減少症と高血清LDH値は、生存期間に対する独立した予後不良因子である。
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