一般演題(口演)
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胃癌組織におけるANGPTL2タンパク発現と臨床病理学的因子及び予後に関する検討 演題番号 : O75-5
1:三重大学大学院消化管小児外科学
【背景】慢性炎症調節因子であり血管新生と関連するAngiopoietin-like protein 2(以下ANGPTL2)は、肺癌では癌細胞の運動能や浸潤能の増強と関与するとされる。今回胃癌組織でのANGPTL2タンパク発現と臨床病理学的因子及び予後について検討した。
【対象と方法】2001年~2011年に当科で切除したStage1~4胃癌354例を対象とした。切除標本に抗ANGPTL2抗体(R&D Systems、希釈1:200)の免疫組織染色(以下IHC)を行った。胃癌細胞の細胞質におけるANGPTL2の発現強度、発現割合を用いて癌中央部でのANGPTL2発現をスコアリングし(0~12点)、overall survival(以下OS)に対するreceiver operating characteristic analysis(以下ROC)で高値群(以下H群)と低値群(以下L群)に分類した。またStage1~3293例ではdisease free survival(以下DFS)に対するROCでH群とL群に分類し、それぞれ臨床病理学的因子や予後との関連を検討した。 【結果】ANGPTL2は主に細胞質に発現していた。Stage1~4354例ではH群(IHCスコア5点以上)は73例、L群は281例であった。生存予後はH群はL群と比べて有意に悪く(P<0.01)、腫瘍径、壁深達度、リンパ管侵襲、脈管侵襲、リンパ節転移、肝転移、遠隔転移、臨床病期では進行例で有意にANGPTL2が高値であった(各P<0.05)。OSに対する単変量解析ではH群は予後因子であったが (リスク比2.48、P<0.01)、多変量解析では予後因子として抽出されなかった。またStage1~3293例ではH群(5点以上)は54例、L群は239例であった。再発予後はH群はL群と比べて有意に悪く(P<0.01)、腫瘍径、壁深達度、リンパ管侵襲、脈管侵襲、リンパ節転移、臨床病期では進行例で有意にANGPTL2が高値であった(各P<0.05)。DFSに対する多変量解析ではH群は独立した予後因子として抽出された(リスク比2.21、P<0.01)。 【結論】胃癌組織におけるANGPTL2発現は腫瘍進展や遠隔転移と関連し、DFSに関する独立した予後因子として抽出された。 |
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