演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

胃癌手術検体、治療前生検検体、化学療法後切除検体におけるKPNA2発現の臨床的意義

演題番号 : O75-3

[筆頭演者]
金 泉:1 
[共同演者]
横堀 武彦:1、緒方 杏一:1、豊増 嘉高:1、木村 明春:1、小暮 憲道:1、小川 敦:1、矢内 充洋:1、大野 哲郎:1、持木 彫人:1、桑野 博行:1

1:群馬大学大学院 病態総合外科学

 

背景:Karyopherin alpha 2 (KPNA2)はimportin familyの一つであり、様々なタンパクのアダプターとして機能することでタンパク核内輸送において重要な働きをしている。また核内KPNA2はRAD50、MRE11、 NBS1などのDNA修復遺伝子複合体の核内輸送にも関与している。癌との関連では、これまで乳癌、肺癌、前立腺癌、食道癌、卵巣癌、膀胱癌などでKPNA2発現は癌進行や予後不良に関係することが報告されている。しかしながらこれまで胃癌臨床検体におけるKPNA2発現の臨床的意義は報告されていない。本研究の目的は胃癌におけるKPNA2発現の臨床的意義、機能を明らかにすることである。方法:胃癌手術検体179症例、治療前生検検体20症例と対応する化学療法後切除検体: KPNA2免疫染色を行いKPNA2発現と臨床病理学的因子、予後との関連を評価した。in vitroにおけるKPNA2機能解析: KPNA2 siRNAを用いて抑制し増殖能、CDDPによるアポトーシス誘導の変化を評価した。結果:術前未治療の胃切除検体179症例における核KPNA2発現は非癌部と比較して癌部で発現亢進していた。特にKPNA2発現は腫瘍の中心部と比較して辺縁部で高発現していた。核KPNA2過剰発現群は癌進行、予後不良と関連していた。また転移陽性リンパ節中のKPNA2発現は原発巣と同様に辺縁部で高く、高発現群は予後不良であった。抗癌剤治療後に胃癌原発巣を切除した20症例の治療前生検検体、治療後切除検体で核KPNA2発現を解析した結果、治療前KPNA2高発現症例は1症例(5%, 1/20)だけだったが、治療後は全症例でKPNA2高発現であった。生検検体の核KPNA2高発現は腹膜転移、肝転移、治療抵抗性に関連していた。解析した胃癌細胞株すべてでKPNA2は発現しており、KPNA2抑制群で増殖能が低下し、CDDP感受性は亢進した。結論:KPNA2胃癌原発巣とリンパ節転移巣において有力な予後マーカーとなることが期待される。特にKPNA2染色により、リンパ節転移陽性患者の中からさらに高リスクの患者を選別する手法は、補助化学療法を回避することで患者QOLの改善につながると期待される。KPNA2抑制が抗癌剤感受性を有意に増強したことからKPNA2を標的にした治療は治療抵抗性胃癌細胞に対する有望な治療ターゲットとなるかもしれない。

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:バイオマーカー

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