演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

胃癌腹膜播種におけるサイトカインからみた分子機構解明と特異的バイオマーカーの確立

演題番号 : O75-2

[筆頭演者]
安本 和生:1 
[共同演者]
矢野 聖二:1

1:金沢大 がん高度先進治療セ

 

難治性で予後不良な胃癌腹膜播種は、早急に解決すべき重要な課題である。 われわれは、胃癌原発巣から転移巣形成進展にいたる本病態特有の真の分子基盤を明らかにすべく精力的に研究を進めてきた。これまでに、1)特徴的な腹膜への選択的転移には腹膜播種指向性低分化胃癌に特異的に発現するCXCR4が関与すること、CXCR4の治療標的の意義と再発高リスク群への先回り術中標的療法の可能性を示した (Cancer Res 2006)。さらには、2) 転移臓器である腹腔内でがん腹水を伴う癌性腹膜炎病態形成・進展におけるがん微小環境の分子基盤を詳細に解析し、選択的CXCR4発現胃癌細胞のEGFR/EGFRリガンドAmphiregulin, HB-EGFによるオートクリン・パラクリン増殖・浸潤メカニズム、EGFRの治療標的分子としての意義 (Clin Cancer Res 2011, Highlights)を明らかにしてきた。 高度な間質増生を伴うび漫浸潤発育の分子病態基盤を明らかにすることこそが、胃癌腹膜播種発症の成因を明らかにし、新たな標的治療法確立に繋がると考えられる。今回、HGF (scatter factorと同義) の役割を検討した。その結果、1)HGFによる胃癌細胞上の機能性CXCR4発現の増強ならびに運動性、増殖・不死化の亢進 2)HGFによるCXCR4発現胃癌細胞からのAmphiregulin (強力な増殖作用あり)の高産生誘導 3)間質細胞からのHGF高産生と癌性腹水中HGF高濃度の存在が判明した。さらには、HGFレセプターであるMetの活性化 (リン酸化) が本病態形成に深く関与することが判明し、Met活性化を抑制しHGF/Met経路を選択的に遮断するMet TKIによる治療実験を行い、マウス腹水癌モデルにおいて腹水産生抑制を伴う癌性腹膜炎病態の著明な改善による大幅な予後改善をもたらした。 以上より、CXCR4を主なターゲットとして、EGFR/EGFRリガンドAmphiregulin, HB-EGF経路に加え、HGF/Metは、本病態を形成における特異的なバイオマーカーであり、本経路の遮断を治療標的とする分子標的治療は胃癌腹膜播種に特異的で効率的な標的治療として今後期待される。

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:分子標的治療

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