演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

進行胃癌におけるKRAS, NRAS, BRAF, PIK3CA遺伝子変異の頻度・予後に関する検討

演題番号 : O75-1

[筆頭演者]
深堀 理:1 
[共同演者]
山田 康秀:1、高橋 直樹:1、谷口 浩和:2、庄司 広和:1、笹木 有佑:1、本間 義崇:1、岩佐 悟:1、高島 淳生:1、加藤 健:1、濱口 哲弥:1、島田 安博:1

1:国立がん研究センター中央病院 消化管内科、2:国立がん研究センター中央病院 病理科

 

【背景】RAS-RAF-MEK-MAPK pathwayは細胞増殖に、PI3K-Akt pathwayはアポトーシスに関与する細胞内シグナル伝達経路である。切除不能進行大腸癌においては、これらシグナル伝達経路の遺伝子変異は予後不良因子と報告されている。一方、切除不能進行胃癌における、これらの遺伝子変異の頻度についての報告は少数に限られ、臨床的意義についても明らかではない。【方法】1995年9月から2008年3月の期間、当院のバイオマーカー研究に参加し、かつ病理組織学的に胃癌の確定診断にて胃切除術を施術された患者は173人であった。このうち167人の新鮮凍結標本あるいはパラフィン包埋組織のKRAS (exon 2.3.4), NRAS (exon 2.3), BRAF (exon 15), PIK3CA (exon 9.20)の遺伝子変異解析を行った (コホートA)。その中で全身化学療法を受けた患者は125人 (コホートB)であった。診療録より患者背景を調査し、コホートAにおいてFisherの正確検定、カイ2乗検定にて患者背景と遺伝子変異との相関を検討した。コホートBにおいて単変量解析・多変量解析を用い、患者背景や遺伝子変異の有無と予後との相関を検討した。また、Kaplan-Meier生存曲線にて全生存期間中央値を算出した。【結果】コホートA:KRAS codon 12、13変異 8人(4.9%)、PIK3CA exon 9,20 変異 9人(5.5%)、NRAS codon 12,13変異 3人(1.9%)をそれぞれ認めたが、KRAS codon 61,146、BRAF V600E、NRAS codon 61の変異は認めなかった。KRAS codon 12,13変異においては、高-中分化腺癌の頻度が有意に高かった (p= 0.03)。年齢、性別、ECOG-PS、転移臓器、転移臓器箇所数とKRAS codon 12,13、PIK3CA exon 9,20、NRAS codon 12,13との間に相関はみられなかった。コホートB:NRAS codon 12,13 変異は有意に予後不良 (MST: 15.5 vs. 9.4ヶ月, p= 0.011, log-rank test)であり、単変量解析 (HR: 4.24, p= 0.014, 95%CI: 1.30-13.8)、多変量解析 (HR: 5.61, p= 0.006, 95%CI: 1.64-19.2)共に予後不良因子であった。一方、KRAS codon 12,13 (MST: 13.2 vs. 15.7ヶ月, p= 0.775)とPIK3CA exon 9, 20 (MST: 13.6 vs. 9.4ヶ月, p= 0.29)の変異と予後に相関は認めなかった。【結語】本邦における切除不能進行胃がんのKRAS、PIK3CA、BRAF遺伝子変異の頻度は稀であり、海外の既存報告とほぼ同様の結果であった。本研究においてNRAS遺伝子変異は予後不良因子であったが、KRAS、PIK3CA遺伝子変異は予後不良因子とならなかった。

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:バイオマーカー

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