演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

Affymetrixマイクロアレイを用いたリンパ節転移進展に関わる包括的遺伝子発現探索

演題番号 : O74-5

[筆頭演者]
山下 継史:1 
[共同演者]
藁谷 美奈:1、江間 玲:1、渡邊 昌彦:1

1:北里大学医学部 外科

 

【背景】lymph node ratioは,郭清リンパ節に対する転移リンパ節の割合(転移密度)と定義され,胃癌において強い予後因子として知られる.しかし,この特有な表現型と関連し,原因と考えられる分子は未だ同定されていない. われわれは,マイクロアレイを用いてこのような分子を同定し,悪性度の高い胃癌の治療戦略を探索している.【対象と方法】stage III進行胃癌腫瘍検体で lymph node ratioが高い患者(n=4)と低い患者(n=4)に対して,54,675の遺伝子からなるAffymetrixマイクロアレイを用い,mRNAレベルでの発現の違いを検討した.同定した遺伝子 EGFR について原発性進行胃癌 (n=167)におけるlymph node ratioとの相関を検証し予後的意義の解明を行った.【結果】(1) マイクロアレイにて発現に差を認めた遺伝子候補は Nkx2.1,CHST9,CTNND2, FGFR2,EGFR等であり,癌における遺伝子増殖で知られていた.(2) これらの遺伝子の中からEGFRに対して167例の進行胃癌の組織検体を免疫組織化学染色(IHC)により発現の有無を調べた.ANOVAでは,特にEGFR発現IHC 2+/3+とIHC 1+の間において,強い相関が認められた(p=0.0035).(3) カイ二乗検定において,lymph node ratio 35%以上とIHC 2+/3+とIHC 1+の間で強い差を認めた(p=0.0023).予後解析を行うと,5年RFSは,EGFR発現IHC 2+/3+ (p=0.039) とリンパ節転移密度35%以上 (p=0.001) は各々予後不良であった.悪性度の高いlymph node ratio 35%以上の進行胃癌19例中18例がEGFRが高発現しており,この分子を標的とした治療開発が有望であると考えられた.(4) EGFR と相関する発現を示す Nkx2.1 は、ステージ進行に伴って、高頻度の遺伝子増幅を示し、そのタンパクは腹膜播種病変に特異的に強発現し、また未分化癌に特徴的な発現パターンを呈した。Nkx2.1の発現は lymph node ratioとは関連がなかった。【結語】進行胃癌において,高悪性度を説明する分子機構候補として EGFRを同定した.標準治療に対して抵抗性のある胃癌において,EGFRは最も有望な分子標的の一つと考えられた.

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:ゲノム・遺伝子

前へ戻る