演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

α1-酸性糖蛋白によるパクリタキセルの活性阻害とバイオケミカルモジュレーション

演題番号 : O73-5

[筆頭演者]
大畠 慶直:1 
[共同演者]
伏田 幸夫:1、柄田 智也:1、木下 淳:1、尾山 勝信:1、岡本 浩一:1、中村 慶史:1、田島 秀浩:1、高村 博之:1、二宮 致:1、北川 裕久:1、藤村 隆:1、八代 正和:2、平川 弘聖:2、太田 哲生:1

1:金沢大 消化器・乳腺・移植再生外科、2:大阪市立大 大学院医学研究科・腫瘍外科

 

【はじめに】腹腔内への移行性が良い事から腹膜播種陽性胃癌に Paclitaxel (PTX) は頻用されてる. PTX の腹腔内投与の有用性について報告例があるが臨床試験の段階であり現時点では経静脈投与が標準治療である. しかし, その治療効果は十分ではない. 一方, 抗癌剤の代謝や薬理動態を補助薬剤により変化させ抗腫瘍効果を増強さる biochemical modulation といった概念があり, 大腸癌においては抗腫瘍効果を高めるために 5-fluorouracil に leucovorinを modulator として加える事は標準治療となっている. 腹膜播種陽性胃癌において癌が進行するにつれて PTX で十分な効果が得られない原因およびその改善策について PTX に結合する血清蛋白に注目した.【背景】PTX は血清蛋白の α1-acid glycoprotein (AGP) と結合し, 結合体と非結合体の間で平衡関係を形成するが非結合体が薬理活性を有している. 一般に担癌患者では AGP が増加すると報告されており, 当科での胃癌腹膜播種患者の腹水中でも 834 μg/ml と高値を示した. このような AGP の増加は PTX の非結合体の減少を来し活性体である非結合体が減少し結果として抗腫瘍効果が低下する事が予想される. 一方, erythromycin (EM) も AGP と結合する事が知られ, PTX と併用すると AGP への結合が競合し PTX の非結合体が増加し抗腫瘍効果が高まる事が予想される. 今回, 胃癌細胞株を用いて AGP による PTX の活性阻害および EM 併用による抗腫瘍効果の増強に関して in vitro および in vivo で検討した. 【方法】胃癌細胞株に対する PTX の細胞増殖抑制効果に, AGP の与える影響を MTT assay で評価した. 次に, AGP を胃癌腹膜播種患者の腹水中濃度である 800 μg/ml, PTX を経静脈投与での腹水移行濃度である 10 nM として EM を併用した際の cell viability を同様に評価した. 続いて, マウス胃癌腹膜播種モデルを作成し, 非治療群, PTX 投与群, PTX・EM 併用群の 3 群に分け抗腫瘍効果を比較した.【結果】in vitro で AGP は, PTX の活性を阻害したが EM を併用により抗腫瘍効果は再活性化された. in vivo では, 非治療群に対し, PTX 単独群で播種結節重量は有意に減少しなかったが PTX・EM併用群で有意に減少した.【結論】担癌患者における AGP の増加は PTX の抗腫瘍効果を阻害するがEM を modulator として併用する事で PTX の活性が増強し更なる抗腫瘍効果が期待できる.

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:化学療法

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