演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

食道・胃接合部腺癌の治療成績と予後因子;当院およびドイツの単施設での比較・検討

演題番号 : O73-1

[筆頭演者]
有留 邦明:1,5 
[共同演者]
島岡 俊治:2、新原 亨:2、西俣 嘉人:3、田中 貞夫:3、末永 豊邦:1、西俣 寛人:2、Jakob R Izbicki:4、夏越 祥次:5

1:公益社団法人鹿児島共済会南風病院 外科、2:公益社団法人鹿児島共済会南風病院 消化器内科、3:公益社団法人鹿児島共済会南風病院 病理、4:ハンブルグ・エッペンドルフ大学 一般外科、5:鹿児島大学大学院 消化器・乳腺甲状腺外科学

 

  欧米に多い食道・胃接合部腺癌は近年わが国でも増加傾向にある。当院の食道・胃接合部腺癌;Siewert TypeII(以下EGJ 腺癌)の全切除症例99例において、ESD/EMR加療が26例、手術切除が73例に施行されていた。ESD/EMR切除例の予後は有意に良好でった。手術例においては、開腹経裂孔アプローチにより63例(86%)、右開胸開腹アプローチにて2例(3%)左開胸開腹アプローチにて8例(11%)に根治性を考慮した手術が施行されていた。肉眼型で早期癌が46例、進行癌が32例に認められ、早期癌のうち3例(6%)、進行癌のうち18例(56%)にリンパ節転移が認められ、多変量解析の結果、リンパ節転移が最も影響のある予後因子であった。ドイツのハンブルグ・エッペンドルフ大学病院(UKE)外科にて切除されたEGJ腺癌の55切除例について検討した。手術は、開腹経裂孔アプローチ33例(60%)右開胸開腹アプローチ22例(40%)に施行されていた。UKEにおけるEGJ腺癌の臨床病理学的因子を、多変量解析を用いて解析したところ、リンパ節転移は14症例(29%)に認められ、独立した予後因子として挙げられた。当院およびドイツの単施設においてリンパ節転移は最も重要な予後因子であった。予後は、当院EMR/ESD切除例、当院手術切除例、ドイツUKE手術切除例の順で有意に当院の予後が良好であり、早期発見の重要性とドイツと日本におけるEGJ腺癌の生物学的な差違が示唆された。日本のEGJ腺癌は、予後が、胃癌と類似していたが、ドイツのEGJ 腺癌は、日本の食道癌と予後が同等であった。ドイツのUKE外科にて切除された食道・胃接合部腺癌の49症例の新鮮標本を用いて癌幹細胞マーカーであるCD90の免疫染色を行った。その結果、食道・胃境界部腺癌において、CD90陽性癌細胞は、49例中35例(71%)の癌巣にてその発現が認められ、CD90陽性例においては、陰性例よりも有意に生存率および無再発生存率が低く、予後不良であった(p<0.05)。多変量解析の結果、CD90はリンパ節転移とともにドイツの食道・胃境界部腺癌の予後因子であった。近年、本邦にてもGERDに伴う食道胃接合部癌が増加してくる可能性を考慮した場合、その予後因子として、リンパ節転移およびCD90が予後因子として重要となるものと考えられた。

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:手術療法

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