演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

卵巣癌に対する骨盤腹膜広範切除術は予後を改善する

演題番号 : O72-4

[筆頭演者]
本原 剛志:1 
[共同演者]
田山 親吾:1、高石 清美:1、齋藤 文誉:1、坂口 勲:1、田代 浩徳:1、片渕 秀隆:1

1:熊本大学産科婦人科

 

近年、悪性腫瘍の治療抵抗性や再発、転移において、一群の細胞集団である癌幹細胞の関与が指摘されている。また、正常の組織幹細胞と同様に癌幹細胞においても特殊な微小環境であるニッチが存在し、癌の発生や維持、転移に関わっていることが示されている。今回われわれは、癌幹細胞ならびに癌幹細胞ニッチを標的とした卵巣癌の新規治療戦略を開発することを目的とし解析を行った。まず、免疫組織化学的染色にて卵巣癌原発巣と腹膜播種病巣におけるCD44陽性の癌細胞の割合について比較した結果、原発巣と比較し播種病巣においてCD44陽性細胞が有意に高い割合で存在することが見出された。すなわち、CD44陽性の卵巣癌幹細胞は腹膜播種病巣形成に関与しており、一方で骨盤腹膜はニッチとして機能している可能性が示された。続いて、2002年から2010年までに当施設で加療した卵巣癌299症例のうち、卵巣癌の基本術式として子宮全摘出術、両側付属器摘出術、大網切除術および骨盤リンパ節郭清術を行なった129例を対象とし、基本術式のみを施行した群 (standard surgery: SS群) (n=57)、基本術式に骨盤腹膜広範切除術を追加して施行した群 (wide resection of the pelvic peritoneum: WRPP群) (n=56)、さらに基本術式に加え腸管の合併切除を行なった群 (rectosigmoidectomy: RS群) (n=16)の3群にそれぞれ分類し、予後との関連性について後方視的に解析を行った。全生存率ならびに無再発生存率について検討した結果、stage I・II期においては各群間で有意差は認められなかった。一方、stage III・IV期の5年生存率は、SS群で46.7%、WRPP群で70.0%、RS群で70.0%であり、WRPP群はSS群と比較して有意に予後が良好であった (P<0.05)。SS群とRS群、およびWRPP群とRS群との間には統計学的な有意差はみられなかった。今回の一連の検討から、卵巣癌基本術式に骨盤腹膜広範切除術を追加することは、特に進行卵巣癌患者の予後改善に寄与することが明らかとなった。また、骨盤腹膜を広範囲に切除することは、骨盤腹膜に高い割合で存在するCD44陽性の卵巣癌幹細胞の根絶、および癌幹細胞ニッチを標的とした新たな治療概念として期待される。

キーワード

臓器別:卵巣

手法別:手術療法

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