一般演題(口演)
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当科における外陰部悪性腫瘍64例の検討 演題番号 : O70-4
1:がん研究会有明病院 婦人科
【緒言】外陰部悪性腫瘍は特に本邦においては頻度が低く、また罹患する患者が高齢であることもあり、治療方法の選択が容易でない。そこで、当院で治療を行った外陰部悪性腫瘍症例の治療成績を検討し、その成績を明らかにすることを目的とした。
【方法】1992年1月から2012年12月までに当院で初回治療を行なった外陰部悪性腫瘍は64症例であり、後方視的にその治療成績を検討した。 【成績】64例の内訳は外陰癌43例(扁平上皮癌33例、バルトリン腺腺様嚢胞癌3例、基底細胞癌3例、腺癌2例、腺扁平上皮癌2例)、パジェット病14例、外陰肉腫2例、悪性黒色腫2例、外陰部異所性乳癌2例であった。平均観察期間は52.9ヵ月であった。外陰癌の43症例においてはIA期が8例、IB期が20例、II期が2例、III期が9例、IV期が4例であった。治療成績としては、IA期では2例に切除断端陽性を認めたが、追加治療なく全例が無病生存している。IB期では3例で再発、原病死を認めており、再発部位は2例が鼠径リンパ節、1例が骨転移であった。再発を認めた3例中2例で、初回治療が外陰部分切除のみであった。II期の2例では、初回治療に手術を選択した症例が尿道口近傍で切除断端陽性となり、局所に再発を認めたが放射線治療を追加し、その後95ヶ月無病生存している。もう1例は組織内照射を選択し、鼠径節に再発を認めたが、手術と放射線を追加することで72ヶ月無病生存している。III期の9例のうち、無病生存しているのは3例のみであった。3症例の内訳は化学放射線併用療法を施行した1例と、根治手術に術後化学療法を追加した1例、根治手術のみの1例であった。IV期の4例のうち、5年無病生存を得られたのは1例のみであり、骨盤リンパ節転移を認めたが手術と化学療法で治療を行った1例であった。 パジェット病症例に対しては、術前に切除範囲を決定するために多部位の生検を施行しており、これにより手術時に明らかな切除断端陽性となった症例は3例(21.4%)であった。観察期間の中央値は67.5ヵ月(26~221ヵ月)で、このうち再発は3例に認められ、これに対しては全例で手術を追加している。原病死した症例は1例(全生存期間101ヵ月)のみであった。 【考案】外陰部悪性腫瘍は高齢者に認められることが多く、その治療方法は患者のQOLを低下させないことが求められる。今回の検討結果は、外陰部悪性腫瘍に対する治療法の選択の一助になると考えられた。 |
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