一般演題(口演)
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リンパ管温存リンパ節郭清の手技と有用性の検討 演題番号 : O70-3
1:神戸市立医療センター中央市民病院
【目的】リンパ管を温存したリンパ節郭清の手技の確立と臨床的有用性を検討した【方法】下腿浮腫を起こしやすい総腸骨・外腸骨・外鼠径上リンパ節の郭清においてリンパ節転移が疑われない症例に対して、リンパ管を可能な限り温存しリンパ節のみを選択的に摘出する骨盤内リンパ節郭清を2008年より開始し、摘出リンパ節数、術後のリンパ浮腫を含めた合併症、患者の予後を検討した。また、リンパ節周囲の局所解剖を詳細に検討することで、より再現性のある手技の確立を試みた。【成績】これまで161例(子宮頸癌45例、体癌56例、卵巣癌53例、重複癌・その他14例)の患者に同手術を行った。摘出した骨盤内リンパ節数の平均は総数23.46個で、従来のリンパ節郭清と同等であった。これまで同手術後に当院リンパ浮腫外来を受診した患者は74名で下肢リンパ浮腫ISL stageは0期17名、1期1名、2期前期1名であり、客観的リンパ浮腫患者は2名(1.2%)であった。同時期に従来同様のリンパ節廓清をおこなった患者38例の客観的リンパ浮腫症例は2例(5.3%),同手術開始以前5年間のリンパ浮腫症例は16例(24.2%)であった。同手術でN1と診断されリンパ節再発した患者は2例・しなかった症例は10例、N0でリンパ節再発した患者は3例・しなかった症例は129例であったが、再発症例はいずれも腹膜播種や傍大動脈リンパ節転移など他の再発リスクがあった。リンパ節周囲の局所解剖を検討すると個々のリンパ節周囲にはリンパ節に直接つながるリンパ管とつながらないリンパ管か確認でき、後者のリンパ管を温存することで同手術が可能であると考えられた。【結論】リンパ管温存リンパ節郭清は、適切な症例を選べば、再発などの治療成績に悪影響を与えず術後のリンパ浮腫発症を軽減することが可能であることが示唆された。
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