演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

HER2陽性ヒト乳癌株を用いたTrastuzumab+Taxane+Pertuzumab三剤併用の有用性検討

演題番号 : O7-5

[筆頭演者]
周 正:1 
[共同演者]
山下 依子:1、柳沢 美恵子:1、守屋 陽一郎:1、原田 直樹:1

1:中外製薬株式会社 育薬研究部

 

【目的】Pertuzumab(Per)は,HER2のダイマー形成部位に結合する新規ヒト化抗HER2抗体薬であり,リガンド依存的に活性化される他のHERファミリーレセプターとHER2とのヘテロダイマー形成を阻害する。第III相臨床試験(CLEOPATRA)で,HER2陽性転移性乳癌においてTrastuzumab(Tras),Docetaxel(DTX),Perの三剤併用療法はTras+DTXの二剤併用療法に比べて,無増悪生存期間1)および全生存期間2)を有意に延長することが示された。我々はこれまでにヒト乳癌細胞株移植モデルを用いて,Tras+DTX+PerはTras+DTXと比較して有意に強い腫瘍増殖抑制効果が得られることを示した(2012年 癌治療学会他)。本試験では,同移植モデルを用いてその機序を解析した。またPaclitaxel(PTX)と TrasおよびPer併用の有用性についても検討した。
【方法】HER2陽性ヒト乳癌細胞株KPL-4をBALB-nu/nuマウス右第二乳腺皮下に移植しxenograft modelを作製した。Tras,Perはそれぞれ10 mg/kg,20 mg/kgを週1回腹腔内投与,DTXは10 mg/kgを3週1回尾静脈内投与,PTXは15 mg/kgを週1回尾静脈内投与し,3週間腫瘍体積を計測した。また投与開始4日後の腫瘍を採取し, TUNEL法,Ki-67免疫染色法によりアポトーシス,細胞増殖への影響を検討した。
【結果】Tras+DTX群はControl群と比較して有意に強い抗腫瘍効果が認められた。Per単剤群はControl群と抗腫瘍効果の差は見られなかったが,Tras+DTX+Per三剤併用群はTras+DTX群よりも有意に強い抗腫瘍効果を示した。Per単剤群ではKi-67およびTUNEL陽性細胞数はControl群と差が認められなかった。また,Tras+DTX群ではKi-67陽性細胞数はControl群と比較して同等であったが,TUNEL陽性細胞数は有意に増加していた。一方,Tras+DTX+Per三剤併用群はTras+DTX群と比較して,Ki-67陽性細胞数は有意に減少し,TUNEL陽性細胞数は有意に増加していた。またDTXの代わりにPTXを用いた場合でも,Tras+PTX+Per三剤併用の抗腫瘍効果はTras+PTXに比べて有意に強かった。
【結論】HER2陽性ヒト乳癌細胞株移植モデルにおいて、Tras+DTXの2剤併用にPerを併用することにより、細胞周期の阻害とアポトーシスの促進を介して抗腫瘍効果が増強することが考えられた。またTras+DTX+Perと同様にTras+PTX+Perの有用性も示された。
1)Baselga J, et al. N Engl J Med. 2012; 366, 109-19
2)Sandra SM, et al. Lancet Oncol 2013.

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:基礎腫瘍学

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